5年前に満期保険金「200万円」の学資保険に入りました。最近NISAも始めたので、学資保険を解約してNISAで大学資金をつくったほうがお得ですか?
配信日: 2025.02.17


執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
学資保険のメリットをおさらいしてみよう!
今回のご相談では、「学資保険を解約するかも」ということですが、学資保険を解約するかどうか決める前に、学資保険の特徴をおさらいしてみます。
学資保険は名前のとおり、子どもの教育費のためというのが、学資保険加入の目的です。ただ、保険加入の際に保険代理店にお願いしたのか、ネットで加入しているのかによって、その他の学資保険のさまざまな特徴について、契約者の理解度が異なっていることがあります。
加入したときに、「保険料」と「戻り率」しか注目していなかったのであれば、学資保険のメリットが十分にわかっていなかったかもしれません。
学資保険にはNISAにはない特徴があります。それは、契約者が亡くなった場合の死亡保障(育英年金)を兼ね備えているという点です。そして、「決まった時期」に「決まった金額」が受け取れるという点も忘れてはいけません。このような学資保険特有の特徴は、損得だけではないメリットといえるでしょう。
教育資金の準備。いつまでにいくら設定したのか思い出して!
よくいわれる学資保険加入のための注目ポイントは、
(1) いつまで払い込むのか
(2) 受け取りは一括か分割か
(3) 分割なら、子どもの入学時や大学進学後など複数の受取が可能で、一時的に子どもの進学で必要になる費用が賄える
という3点です。
単に「得か損か」という点でみると、経済状況によって、学資保険よりNISAのほうがお得度としては上回る可能性はあるでしょう。ただ、このポイントを見ると、NISAのほうが「不確定要素が多い」ことに気づくはずです。
保険はいったん解約してしまうと、再度の加入は同条件とはなりませんから、保険料も変わってきます。再度、加入した学資保険の内容を精査してみて、具体的に思い描く教育資金の準備金額に沿うものか確認してみましょう。
教育費の準備方法は学資保険? 新NISA?どれにするのが正解?
前述したように、学資保険とNISAにはそれぞれの特徴があり、同じ「教育費」という目的であったとしても、補うことが可能といえます。つまり、どちらか一択ではなく、それぞれの特長を生かした準備をすることが、よりベターな選択肢といえるでしょう。
18歳まで児童手当が1万円(3歳未満1万5000円。第3子以降は3万円)など、ある程度の支援が見込める状況では、学資保険を支払い続け、さらにNISAを支払える家計状況になっているのではないでしょうか。もし、加入した学資保険料の支払いが11歳で終了する場合は、学資保険料の支払いが終われば、親の老後資金などほかの貯蓄に取り掛かれます。
冒頭のご相談者さまの場合、学資保険には5年前に加入したとのことですが、家計の中からだけではなく、児童手当を加味すれば、より多くの教育資金を準備できるでしょう。
子どもの進学ルートを具体的に考えられれば、お金が必要になる時期がわかります。もし、私立受験を考えているのであれば、早めに費用を準備する必要があります。学資保険を確認して、18歳満期や20歳満期などとなっていれば、新NISAなど、ほかの手段で準備することを追加で考えればいいでしょう。
いずれにせよ、今回保険加入から5年たったこと、2024年から新NISAが始まったことで迷われるのもわかりますが、今後はどちらのメリットも生かす準備を検討するのはいかがでしょうか。
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。