個人保険加入者全員が払う保険料は年間21兆円以上!最近10年の生命保険の状況って?
配信日: 2018.10.12 更新日: 2019.01.11
その年換算保険料の推移から生命保険業界の最近10年の業績を確認してみました。
Text:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
個人年金保険(新契約)の年換算保険料は10年前のわずか3分の1
下記のグラフは、生命保険協会の統計資料「生命保険事業概況」と「生命保険の動向」から、会員41社の新契約年換算保険料合計の推移を表したものです。2008年度から2017年度まで10年間の年換算保険料を個人保険と個人年金保険に色分けして載せてあります。
年換算保険料とは、各契約の全期間の払込保険料総額を保険期間等で割って1年あたりの保険料に換算したものです。簡単に言えば、1年間に保険会社が加入者から受け取る保険料の合計で、加入者全員が1年間に払う保険料の合計とも言えます。
資料:生命保険協会「生命保険事業概況(2013~2017年度)」「生命保険の動向(2012年・2017年版)」
2008年度以降では、個人保険の年換算保険料は概ね順調に増えています。2013年度と2017年度は前年割れしていますが、2008年度の1兆5622億円から9年間で6642億円も増えています。
個人年金保険の年換算保険料は大きく減らしています。2008年度の1兆2273億円から2009年度には3272億円増えて1兆5545億円となり、個人保険を逆転しそうな勢いがありました。
しかし、2010年度に6928億円も減少して8617億円となり、さらに2016年度から2017年度にかけて4655億円減少したことで、9年前に比べて僅か3分の1の規模になってしまいました。
個人年金保険は将来受け取る年金を貯めていく商品の特性上、金利の低下は商品の魅力低下に直結します。2017年度に大きく減少しているのは、2017年4月の予定利率引き下げの影響がかなりあったような気がします。
生命保険(個人保険)で毎年1人あたり約17万円の保険料を払っている
次に保有契約の年換算保険料合計を確認します。保有契約数は更新、復活等でも増え、解約や満期等で減るので、前年度の保有契約数と当年度の新契約数の合計とは異なります。
資料:生命保険協会「生命保険事業概況(2013~2017年度)」「生命保険の動向(2012年・2017年版)」
毎年多くの新契約が加わることから、解約や満期等で減少しても保有契約の年換算保険料は徐々に増えています。2017年度の保有契約年換算保険料は、個人保険が21兆5032億円、個人年金保険が6兆3719億円となっています。
あまりにも大きな数字なので、日本の人口(総務省人口推計2017年の10月1日現在の総人口)で割って1人あたりの年換算保険料を計算してみると、1人あたりの年換算保険料は個人保険が169,710円、個人年金保険が50,290円にもなります。4人家族なら個人保険と個人年金保険で年間88万円払っていることになります。
保険料の中には個人年金保険以外にも、終身保険や養老保険等のように貯蓄性の高い保険が含まれているので、年換算保険料が多いというだけでは保険料を無駄に払っているということにはなりません。ただ、多くの日本人は保険が好きということは言えるかもしれません。保険料が気になった人は、この機会に加入している保険の内容を改めて確認しましょう。
※年換算保険料の統計は生命保険協会に加盟している生命保険会社のみで、損害保険会社や共済等は含まれていません。生命保険協会に加盟している保険会社は現在41社ですが、会社数は毎年のように変動しています。
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者