更新日: 2023.12.17 その他保険
70歳過ぎの母が今から死亡保険に加入すると言っています。お金は生活費に充ててもらいたいのですが必要ありますか?
しかし、70歳を過ぎた高齢者にとって死亡保険は必要なのでしょうか。今回は、高齢者の死亡保険の必要性について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
70歳過ぎてから死亡保険は必要か?
死亡保険は、万が一自分が亡くなったとき、残された家族のための備えとして加入するのが一般的です。高齢になると子どもも自立しているため、家族の生活費を心配する必要はありません。
その代わり、葬儀費用として死亡保険に入る人は増えてきています。2022年に、鎌倉新書が喪主を体験した40歳以上の男女を対象に行った「第5回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀にかかった平均総額は110万7000円でした。
このうち葬儀そのものにかかった費用は、平均67万8000円で飲食や返礼品には平均42万9000円かかっています。実際には、葬儀の種類によって費用は大きく変わってきますが、親が亡くなったときは100万円前後の葬儀費用が必要になると考えていいでしょう。
特別な事情がない限り、死亡保険の受取人は被保険者の配偶者または子どもに設定しておくのが一般的です。親が死亡保険に加入していれば、葬儀費用を保険金からまかなえます。
もし、死亡保険に加入していない場合は喪主が葬儀費用を出さなければなりません。そう考えると、70歳を過ぎていても死亡保険は必要といえます。
高齢者でも死亡保険に加入できる?
70歳以上の高齢者でも、加入できる死亡保険はあります。月々の掛金(保険料)は、受け取れる保険金によって違ってきます。保険金が高ければ、月々の掛金も上がりますが、葬儀費用として考えれば200万円程度受け取れれば十分でしょう。
例えば、70歳女性で保険金が200万円の場合、月々の掛金は女性で3000円ほどです。これくらいの掛金であれば、生活費への影響は少ないのではないでしょうか。
死亡保険も相続税の対象になる
親が死亡保険に加入するとき、理解しておきたいのが相続税です。死亡保険は、掛金を誰が払っていたかで税金の種類が変わります。親が自分で払っていたときの死亡保険を相続人が受け取った場合、金額によっては相続税がかかる場合があります。
もし、親が加入する死亡保険の掛金を子どもが払う場合、保険受取金に課税されるのは相続税ではなく所得税となるため、注意しましょう。ただし、死亡保険金は「みなし相続財産」として扱われ「500万円×法定相続人の数」が非課税となります。
例えば、200万円ほどの保険金で法定相続人が1人であれば、相続税はかかりません。
もちろん、非課税限度額以上の保険金があるときは課税される可能性が出てきます。その場合でも、お通夜や告別式などの葬儀費用として利用した分に関しては課税対象外です。
「香典返しの費用」「墓石や墓地の買い入れなどの費用」「初七日など法事にかかった費用」などを除いた費用は課税されません。亡くなった人がどのぐらい遺産があるかで、相続税の計算は大きく変わってくるため、不安な場合は事前に税理士など専門家に相談することが大切です。
高齢になってからの死亡保険は葬儀費用の備えにできる
考え方はさまざまですが、高齢者の場合は葬儀費用の備えとして死亡保険に加入する人もいます。葬儀費用を捻出するだけなら、女性の場合で月々2000〜3000円程度の掛金で十分といえます。
ただ、実際にはどういった目的で死亡保険を考えているのかは本人ではないとわかりません。不要だと思うなら親と話し合いをし、納得のいく回答であれば加入してもらうのもいいでしょう。
出典
国税庁 No.1750 死亡保険金を受け取ったとき
国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー