更新日: 2019.01.10 その他保険
知っているようで知らない雇用保険(2)失業中でも意欲があれば給付金でスキルアップして再就職できる!
Text:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
相続診断士
終活カウンセラー
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
目次
失業者の再就職を援助『就職促進給付』
『就業促進給付』は、「就業促進手当」「移転費」「求職活動支援費」と大きく3つに分かれています。
「就業促進手当」は、基本手当の受給日数が残っているうちに早期に再就職ができた方が受給出来ます。以下のものがあります。
「再就職手当」は、1年超えることが確実な、安定した職業に就いた場合の手当です。再就職の前日に、基本手当の残り日数が1/3以上ある等一定の要件を満たすとき、基本手当日額に残りの日数の60%を掛けた金額、残りの日数が2/3以上残っているときは×70%を掛けた額が支給されます。
さらに、「再就職手当」を受けた者が、引き続きその職場に6ヶ月以上雇用され、再就職後の賃金が離職前より下がった場合、基本手当の残り日数(「再就職手当」受給前の残り日数)の40%を上限として受給出来ます(「就業促進定着手当」)。
雇用期間が1年に満たない有期労働等に再就職した場合、「就業手当」が受給出来ます。再就職の前日に基本手当が1/3以上残っていて、かつ、45日以上ある等一定の要件を満たすとき、就業日1日につき基本手当の30%、就業していないときは基本手当が受給出来ます。
「常用就職支度手当」は、身体障害等の就職困難者が安定した職業に付いた場合に受給出来ます。原則、基本手当日額に残った日数(最低45日から最大90日分まで)の40%を掛けた額が支給されます。ただし、「再就職手当」が支給されるときは受け取れません。
ハローワークの紹介での引っ越し、「移転費」「求職活動支援費」の支給があります
ハローワークの紹介で就職や、職業訓練等を受講するために住所変更しなければならないときは、鉄道運賃や着後手当が支給されます(「移転費」)。
また、ハローワークの紹介で広域求職活動したり(「広域求職活動費」)、職業指導を短期で受けたり(「短期訓練受講費」)、面接や職業訓練を受けるために保育サービスを利用した場合かかった費用の8割(上限6,400円)を限度に支給されます(「求職活動関係役務利用費」)。
スキルアップ支援『一般教育訓練給付金』
『一般教育訓練給付金』は、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする制度です。
一定の要件を満たす効用保険の被保険者(在職者)、または、被保険者であった方(離職者)が、厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し終了した場合に『一般教育訓練給付金』が支給されます。
一般教育訓練受給者は、講座受講開始日で雇用保険の被保険者である場合、雇用保険加入期間が3年以上ある方、講座受講開始日に雇用保険の被保険者でない場合は、離職日の翌日以降受講開始までが1年以内(適用対象期間の延長された場合は最大20年以内)であること、前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始までに3年以上経過している等の要件があります(初めての支給を受ける場合は、在職者・離職者どちらも1年以上の被保険者であった期間があれば可)。
支払った教育訓練費(4千円以上)の20%に相当する額が支給されます。給付の上限は10万円です。
受講開始1年以内にキャリアコンサルタントが行うキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用(2万円が上限)も教育訓練経費に加えることができます。
専門的なスキル習得支援『専門実践教育訓練給付』
『専門実践教育訓練給付金』は、中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする制度です。支給対象者は『一般教育給付金』の支給対象者と同じですが、初めて給付を受けようとする場合は、支給要件期間が2年以上あれば可です。
支給額は、受講中の場合支払った額の50%(上限120万円)、資格を取得し終了の翌日から1年以内に会社に保保険者として雇われた場合は70%(上限168万円受講中に受けた差額が支給されます)。どちらも4,000円を超える場合に支給されます。
受講日前に、訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受けなければ、『専門実践教育訓練給付金』は受けられませんが、在職者で、事業主が専門実践教育訓練の受講を承認したことを証明できるのであれば、この限りではありません。
『教育訓練支援給付金』
『専門実践教育訓練給付金』の受給資格者のうち、失業状態にある場合、一定の条件を満たした場合『教育訓練支援給付金』の支給があります。支給額は、原則、離職前の6ヶ月間から算出された基本手当(上限があります)の日額の80%になります。
ただし、雇用保険基本手当受給者の期間は、基本手当を受け取る期間である為、『教育訓練支援給付金』は給付されません。基本手当の手続きをしてなくても、基本手当受給の待機の期間や受給期間は給付されません。
生活費を心配すること無く、専門知識を習得するための支援です。訓練を欠席した日は支給されませんし、欠席が多く、2ヶ月の出席率が8割未満になった場合、以後一切『教育訓練支援給付金』は支払われません。
成績不調や休学等で訓練期間に終了できなかった場合も支給されなくなります。
※平成30年7月時点のものです。詳細は、厚生労働省HPをご覧ください。
Text:林 智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
相続診断士
終活カウンセラー
確定拠出年金相談ねっと認定FP