本記事では、自転車対歩行者事故の現状と自転車保険について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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自転車対歩行者事故における歩行中の重傷者数
警察庁交通局が2023年3月に公表した「令和4年における交通事故の発生状況について」によると、令和4年の自転車対歩行者事故における重傷者数は309名、死者は3名でした。
資料の中で最も古い平成24年のデータをみると、重傷者は293名、死者は4名です。重傷者数はその後、平成30年に357名とピークを迎えますが、令和に入ってから減少傾向が続き、令和3年には296名と平成24年とほぼ同じ水準となったものの、令和4年に再び300人台を超えてしまった形です。
自転車対歩行者事故は歩道で多発している
同資料によると、令和4年の自転車対歩行者事故における、衝突地点別の歩行中死者・重傷者数は、歩道が122名で全体の39.1%を占めます。2位以降は交差点内が77名の24.7%、非分離道路が43名の13.8%です。自転車対歩行者事故の6割以上が歩道、もしくは交差点内で起きていることが分かります。
道路交通法上、自転車は軽車両に位置付けられているため、原則として車道の左側に寄って走行しなくてはいけません。ただし、歩道に歩行者がいない場合、道路標識で指定された場合、高齢者などは除きます。
何らかの理由で自転車が歩道を走行した際に、歩行者と接触する事故が起こる危険性があるため、自転車側は歩行者に気を配って運転しなくてはいけません。
自転車保険加入は義務?
自転車を運転する機会がある方は、自転車保険への加入を検討しましょう。自転車保険とは、自転車走行中の自身のけがに備える保険(傷害保険)と、被害者への損害賠償に備える保険(個人賠償責任保険)がセットになった商品です。
自治体によっては、自転車を運転する方の自転車保険加入が義務付けられています。自転車保険への加入が義務付けられている都道府県は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県など全体の約8割です(令和4年10月時点)。また、残りの都道府県も自転車保険への加入を努力義務としています。
たとえ努力義務であっても、自転車を運転するなら自転車保険に加入したほうがよいでしょう。これまで発生した自転車事故では、自転車運転者が支払う損害賠償が数千万円から1億円近くになったケースもあります。
実際に、小学生が歩行者に重傷を負わせた自転車事故では、裁判所が判断した損害賠償額は9520万7082円でした。子どもが事故を起こした場合、親が監督義務を果たしていなかったとして損害賠償が命じられるケースもあります。
万が一に備えて自転車保険加入を検討しよう
自転車対歩行者事故における重傷者数は、ピーク時よりは減少しています。しかし、ここ数年は再び微増傾向にあるため注意が必要です。
自転車事故を起こさないように、ルールを守って安全運転をすることが一番大切ですが、万が一のときのために、自転車保険に加入しておいたほうがよいでしょう。
自転車保険が付帯するクレジットカードや自動車保険もあるため、一度、お持ちのクレジットカードや加入している自動車保険などの規約を確認してみることをおすすめします。
出典
警察庁 令和4年における交通事故の発生状況について
警視庁 自転車の通行方法等に関する○×クイズ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部