更新日: 2019.01.07 その他保険

リタイアした後の健康保険、なにを選びますか?

リタイアした後の健康保険、なにを選びますか?
会社員や公務員の方は、現役時には企業や役所にある健康保険組合に加入し、医療行為を受ける際には、その健康保険を利用していました。しかし定年を迎え、リタイアするとそのまま健康保険に加入し続けることはできません。健康保険をどうするかは、重要な課題となります。現役時代に比べ、とくに高齢になると病気や怪我に遭う機会が増え、医者の診察を受けることも多くなるからです。
黒木達也

Text:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

宮﨑真紀子

監修:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

リタイア後の健康保険、四つの選択肢

会社や役所を退職すると、これまで加入していた健康保険は使えなくなります。無保険では困りますので、その後に加入する健康保険を選ばなくてはなりません。退職者が加入できる健康保険は、次の四つになります。

① 国民健康保険に加入し、その被保険者になる
② 家族が加入している健康保険の被扶養者になる
③ 退職前に加入していた組合の任意継続被保険者になる
④ 退職前に加入していた組合の特例退職者被保険者制度を利用する

それぞれ長短があり、条件によっては加入できない場合もあります。
75歳からは全員「後期高齢者保険」の加入者になりますが、75歳になるまでの期間、どの健康保険が自分にとって望ましいかを検討する必要があります。

①国民健康保険への加入が一般的

まず考えられるのは、①国民健康保険に加入しその被保険者になる、方法です。
これは自営業者など多くの人が加入している健康保険で、市区町村などが中心となり運営しています。ここへの加入するのが最も一般的です。保険料は、原則前年の収入に応じて決められるため、現役時代の年収が反映され、初年度の保険料負担はかなり重くなります。また地域ごとに運営されるため、どこに住んでいるかで保険料に若干の差ができます。年金以外に収入がない人の場合、年額12万円から18万円くらいの自治体が多いようです。これに介護保険料が加わります。個人単位で加入するため、扶養家族だった配偶者も別に加入する必要があります。
 

②家族が加入している健康保険の被扶養者になる

次に、②子どもや配偶者が現役で加入している健康保険組合の被扶養者になる選択です。要するに扶養家族となることです。この場合は、本人の年収が130万円未満であるなどの条件があります。現役時代の勤続年数が長く、厚生年金と基礎年金を受け取ると、年収は130万円を超えると思いますので、扶養家族にはなれません。また健康保険組合によっては、扶養家族にする条件を厳しくしていますので確認が必要です。

③退職前に加入していた組合の任意継続被保険者になる

さらに、③現役時代の加入していた健康保険組合の「任意継続被保険者」となる方法があります。これは最長で2年間、これまでの健康保険組合に継続して加入できる制度で、現役時代と同じ保障が受けられます。ただし現役時代は、勤務先に保険料の半額負担をしてもらえましたが、全額自己負担となります。多くの場合、加入者平均の金額になりますので、現役時代の年収が高かった人は、保険料が2倍になることはありません。年額で20万円から30万円(介護保険料は別)の組合が多いようです。
国民健康保険に比べ高くなりますが、配偶者を扶養家族に出来ます。とりあえず2年間は加入するという選択です。2年後に国民健康保険に移行しても、初年度の国民健康保険料は、退職直後に加入する場合と比べ安くて済みます。

④退職前に加入していた組合の特例退職者被保険者制度を利用する

最後に、④これまで加入していた組合の「特例退職者保険制度」の被保険者になる方法です。ただし、加入していた健康保険組合に「75歳まで継続加入できる」制度がある場合に限られます。この制度がある健康保険組合は全国に70組合ほどしかなく、すべての組合が制度化しているわけではありませんので、確認が必要です。現役時代の加入年数などにより加入資格が決められ、一度加入すると75歳まで脱退はできません。保険料も全額自己負担になり、年間の金額は、③の任意継続被保険者とほぼ同じです。配偶者を扶養家族にできる、人間ドックが割安で受診できる、などのメリットがあります。

 

現役時代から、定年退職後に備え健康保険をどうするかをしっかり検討しておけば、そのときになって即座に選択することができます。

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