知的やメンタル面でハンディがあると保険に入れないのでしょうか?
配信日: 2018.04.26 更新日: 2020.04.06
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
服用しているお薬の名前を書くと契約を断られる?
「知的やメンタルの面でハンディがあると保険に入れないのでは?」というお尋ねを頂く理由の一つに「健康告知」があるようです。
生命保険は契約の手続きを行う時に「健康告知」があります。健康告知とは被保険者(=保険の対象となる人、保険を掛けられる人のこと)の健康状態について、「告知書」にある保険会社からの質問に対し、被保険者が告知書に書いて答えるというものです。
健康告知は、保険会社によっても、また同じ保険会社でも商品によって異なります。
この健康告知の質問の中に「お薬の服用の有無と(もし、お薬を服用していれば)その内容」を問うものがあります。
「服用しているお薬の名前」を正直に答えてしまうと「生命保険の契約を断られてしまうのではないか」と懸念される声もよく耳にします。
健康告知の質問に対し、被保険者が書いた回答を、保険会社がどのように判断するのか公表されていません。
「知的やメンタルの面でハンディがある方」が「お薬の服用」について正直に答えたとして「契約を断られる」のか否かは「分からない」のが実情です。
どうしても生命保険を契約したいからと言って「お薬の服用」に関して「隠しておこう」とするのは止めましょう。契約の成立後に思わぬトラブルに発展する可能性があります。
では、何とか「知的やメンタルの面でハンディがある方」が「お薬の服用」についての質問を避ける方法は無いのでしょうか?
例えば、がん保険でしたら
商品にもよりますが、がん保険の中には「服用しているお薬の名前」を答えなくても良い商品が、いくつかあります。国民の2人に1人がかかるとされる、国民病とも言われるがんですが、がん保険でカバーされるのはがんの治療だけですね。
緩和型(かんわがた)と言われる保険があります
これは、文字通り健康告知に関する質問を緩和した商品(生命保険と医療保険)で、保険会社のWEBサイト等では「持病があってもOK」というフレーズでPRしています。ご参考までに緩和型保険の健康告知書の質問例を挙げてみます。
以上の質問に全て「NO」なら「申し込むことができます」。
いかがでしょう。「服用しているお薬の名前」を答える必要がありませんね。
なお、緩和型の保険の健康告知の内容は保険会社によって異なりますので、挙げた例をご覧いただいて「やっぱりダメだあ」と思われた方も、別の保険会社の緩和型を検討してみても良いでしょう。
なお、緩和型の保険ならではの留意点がありますので、併せて挙げておきます。
☆契約する前からかかっていた持病で入院したり(医療保険)、亡くなっても(生命保険)給付金や保険金を受け取ることができます。
☆「緩和型ではない」保険に比べると、保険料が高く設定されています。
☆契約が成立してから1年間は給付削減期間と言って、受取保険金は半分になります。
以上の項目は、保険会社を問わず緩和型に共通した留意点となっています。
知的の面でハンディのある方を対象にした保険があります。
「特に知的の面でハンディがあると、健康告知以前に、そもそも保険の相談に取り合ってもらえない」という声もあるようです。そこで…。
知的の面でハンディのある方を含め、発達障害の方やダウン症の方とそのご家族やご親族を対象にした保険があります。医療保険に示談代行サービスの付いた個人賠償特約、権利擁護を目的にした弁護士費用特約がセットになった商品です。
まとめ
知的やメンタルの面でハンディのある方、いかがでしょうか?少しはお役に立てる情報だったでしょうか?選択肢が全く無いわけではなさそうですので、生命保険の契約を希望される方は、あきらめてしまう前にいろいろな情報を収集してみるといいですね。
Text:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役 専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師