介護保険の生活援助サービスが受けれない?その対象はこんな人
配信日: 2018.01.31 更新日: 2019.01.10
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
訪問介護って何?
■訪問介護は、ホームヘルパーさんが要介護者・要支援者の自宅を訪問して、生活援助、身体介護、通院等乗降介護サービスを行います。
■生活援助は、洗濯や部屋の掃除、日常の食事の準備や調理、生活必需品の買物、薬の受け取り、衣服の整理、補修やベッドメイクなどのサービスをいいます。
■身体介護は、食事の介助 、清拭(からだを、タオルなどでふいてきれいにすること)や入浴の介助、衣服の着脱や体位変換、起床・就寝の介助 、排せつの介助、服薬の介助、通院(原則、院内介助は除く)の介助、外出介助など、直接、身体に触れるサービスをいいます。
■通院等乗降介護サービスは、指定を受けた事業所の車両で病院まで、または病院から自宅までの送迎の介助を行ってもらえるサービスです。
ホームヘルパーさんに頼めること、頼めないこと
ホームヘルパーさんは、家政婦さんとは違います。相手が喜ぶからと言って、何でも手助けするのでは、要介護状態の改善はおろか、維持も望めません。日常生活で本人ができることは、本人にやってもらい、できないことを手助けするのがホームペルパーさんの役割です。
そこで、介護保険では、直接、本人の援助につながらない行為や日常生活の援助に該当しない行為は認められていません。また、医療行為やリハビリ行為も資格がないのでできませんし、本人に代わって金銭を引き出したり、契約書に記入するなどもできません。
■直接、本人の援助につながらない行為しては、利用者以外の方(家族など)に係る調理・洗濯・買物・布団干し、主として利用者が使用する部屋等以外の掃除、来客の応接(お茶、食事の手配など)、自家用車の洗車・清掃などです。
■日常生活の援助に該当しない行為としては、犬の散歩などのペットの世話、草むしりや花木の水やり、植木の手入れなどの園芸、家具・電気器具などの移動、部屋の模様替え・大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスがけ、換気扇の掃除、室内外家屋の修理・ペンキ塗り、大晦日、正月、節句などのために特別な手間をかけて行う料理などです。
■医療行為は訪問看護で行います。ただし、医療行為のうち、血圧測定や、外用薬の湿布など医師等による専門的な管理が必要でない場合には一定の条件のもと、ホームヘルパーさんに頼める場合があります。
■病院に通院するのに、介護タクシーを利用するとき、要介護1以上の方が対象で、身体の状況等から、利用の必要性がある場合にケアプランに位置付けた上で利用します。ただし、運賃は介護保険の対象外で全額自己負担ですので注意しましょう。
また、病院内の介助は、基本的には院内のスタッフにより対応されるべきものですので、介護保険の対象外です。ただし、通院先の病院に介助体制が整っておらず、①身体的な状態により、常に見守り・介助 が必要な場合、②認知症で目を離すと病院から出てしまう場合など、常に見守り・介助が必要な場合は、ケアプランに位置付けた上で介護保険の対象とすることが可能です。
同居の家族がいる場合の生活援助
同居家族がいる場合、原則として生活援助は受けられません。ただし、やむを得ない事情により生活援助が必要と判断される場合は利用できます。
たとえば、同居の家族が障害や病気で家事を行うことが困難な場合や家族が介護疲れで共倒れ等の深刻な問題が起きてしまう恐れのある場合、家族が仕事で不在の時に生活援助を行わなくては日常生活に支障がある場合などです。このように、生活援助を利用できる場合もありますから、ケアマネジャーに相談してみましょう。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。