更新日: 2020.03.09 その他保険
雇用保険に加入するメリットとは? 加入条件などを解説
正社員で、パートで、またアルバイトで働くなど、働き方もいろいろ変化してきておりますが、何らかの形で労働保険(雇用保険、労災保険)にお世話になる方も多いのではないでしょうか。
今回は2つある労働保険の中で、雇用保険を考えて見てみましょう。
雇用保険ってどんな保険
雇用保険とは公的な保険で、労働者の生活や雇用の安定を図るとともに、再就職の援助を促進することを目的に、失業された方や教育訓練などを受けられる方などに失業等給付を行うものです。
そして雇用保険は、1名以上の従業員を雇用しているすべての企業が加入する必要があります。また労働者は、1週間の所定労働時間が20時間以上の方や31日以上の雇用が見込まれる方は加入する必要があります。雇用保険の給付には、次のおおむね4つの種類があります。
・基本手当 一般的に失業手当と呼ばれ、定年や失業したときの求職活動時に支給されます。
・就職促進給付 失業者の再就職を支援するためのもので再就職手当や就職促 進定着手当などがあります。
・教育訓練給付 能力開発や、キャリアアップの形成のためのもので、教育訓練受講の費用の一部が支給されます。
・雇用継続給付 生活の援助をするために支給されるもので高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付があります。
労働環境別、雇用保険の適用範囲
雇用保険の被保険者の種類は以下の通りです。
・一般被保険者 65歳未満で週20時間以上、31日以上の雇用が見込まれる方
・短期雇用特例被保険者 季節的に雇用で1年未満の方
・高年齢継続被保険者 一般被保険者であったものが、65歳以上も継続雇用される方
・日雇労働被保険者 30日以内の期限を決めて雇用される方
したがって、正社員・パート・アルバイトに関係なく、上記の条件に当てはまれば雇用保険の対象者になります。
雇用保険の対象となる賃金は
雇用保険の対象となる賃金
・基本給
・超過勤務手当、深夜手当
・休日手当、宿直手当・日直手当
・扶養手当、家族手当
・通勤手当(通勤定期券)
・住宅手当、物価手当
・単身赴任手当、勤務地手当
・精勤手当、皆勤手当
・技術手当、職階手当 など
雇用保険の対象とならない賃金
・出張旅費、赴任手当
・災害見舞金、療養見舞金、傷病見舞金
・結婚祝金、死亡弔慰金、出産見舞金
・海外手当、在外手当
・休業補償費 など
したがって、定期代や家族手当は当然雇用保険の対象となる賃金に含まれます。
※詳細は厚生労働省の労働保険の賃金について参照ください。
雇用保険料っていくら?
雇用保険料の対象になるのは、税金や社会保険料を引く前の収入金額で、毎月の給与総額に雇用保険料率を掛けて算出されます。
ちなみに「一般の事業」の区分の場合、平成31年度の雇用保険料率は9/1000(3/1000 労働者負担 6/1000 事業主負担)となっております。したがって、月20万円の賃金の方は、月600円の雇用保険料を支払うということになります。
注意点としては、勤務体系が変わり、20時間未満になり、30日未満の雇用に代わった方は雇用保険の対象外となります。
雇用保険のFAQ
・離職したから雇用保険を受給したいけど、手続きは簡単?
ハローワークで雇用保険被保険者離職票を確認し、受給資格決定、求職の申し込みをすれば完了です。当日は離職票(1・2)、マイナンバーカード、印鑑、本人名義の預金通帳を用意する必要があります。
・取締役や会社の役員は雇用保険に加入するの?
一般の従業員と同等の条件で働いている場合を除き、雇用保険には加入できません。
・会社が雇用保険の手続きをしてくれない場合の対処法を教えてください。
会社が離職手続きをしてくれない場合は、ハローワークに行き離職票が発行されていないことを相談してください。
まとめ
労働者が雇用保険の対象者になる場合は雇用保険に入らなければいけません。いくつかの給付がありますので、会社を辞めたときにはどれが対象になりかつ活用できるのかを調べて利用しましょう。雇用保険は掛金も安く、いざというときの補償は有り難いものです。
[出典]厚生労働省「第6章 賃金について」
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表