更新日: 2019.08.30 その他保険
介護サービスにはどんな種類がある?利用者負担はどれくらい?
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
介護サービスにはどんな種類がある?
まず初めに、どのような介護サービスがあるかを確認しましょう。
※平成30年度 厚生労働省 老健局「公的介護保険制度の現状と今後の役割」から抜粋
介護サービスには、大きく分けて「予防給付」と「介護給付」があります。要支援状態にある被保険者に対して「予防給付」、要介護状態の被保険者に対して「介護給付」が給付されます。
それぞれについて、どこが指定・監督を行っているかで異なり、「都道府県・政令市・中核市」と「市町村」で分けられています。
聞いた言葉があるかもしれませんが、例えば「ホームヘルプサービス」や「デイサービス」、「ショートステイ」などは都道府県・政令市・中核市が、「グループホーム」などは市町村が、指定・監督を行っています。
これらの介護サービスは、介護が必要かどうかの認定(要介護・要支援)を受けた後、その程度に応じて決定されます。
介護サービスの利用者負担は?
それぞれの介護サービスを利用する場合、「介護サービス費」がかかります。介護サービス費は、原則、公的介護保険制度により9割が支給され、残りの1割を自己負担分として支払う必要があります(利用者負担)。
利用者負担は、原則、1割ですが、一定以上の所得者については、2割負担の人もいれば、3割負担の人もいます。利用者負担のイメージは、このようになっています。薄い青色の部分が利用者負担分です。
※平成30年度 厚生労働省 老健局「公的介護保険制度の現状と今後の役割」から抜粋
少しポイントをまとめてみましょう。
(1)介護給付・予防給付は、原則、9割が支給される(一定以上の所得者の場合、8割・7割の人も)。
(2)利用者負担(自己負担)分は、原則、1割(一定以上の所得者の場合、2割・3割の人も)。
(3)高額介護サービス費制度を利用すると、利用者負担が軽減される。
(4)日常生活費や食費、居住費・滞在費は、原則、利用者が負担する。
(5)食費、居住費・滞在費については、一定の条件を満たせば、特定入所者介護サービス費として軽減される。
特に知っておきたいことは、(3)の高額介護サービス費制度を利用した場合の上限額です。高額介護サービス費制度では、月々の介護サービス費の自己負担額が世帯合計(個人)で上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻されます。
上限額は、所得段階に応じて異なりますが、次の表のようになっています。
※平成30年度 厚生労働省 老健局「公的介護保険制度の現状と今後の役割」から抜粋
所得段階は第1段階から第4段階まであります。第4段階は市町村民税を納めている方です。このような方の場合、上限額が世帯合計で44400円となっています。つまり、利用者負担が44400円を超えた場合、その超えた分が払い戻しされるということです。
老後の介護費用について考える際は、この金額が自己負担としてのひとつの基準になっています。民間の介護保険を検討する際は、このような金額も含めて、どのような保障内容にするかを考えていく必要があります。
次回からは、それぞれの保険商品について、特徴を見ていきたいと思います。
出典:※平成30年度 厚生労働省 老健局「公的介護保険制度の現状と今後の役割」
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)