更新日: 2019.08.10 その他保険
子どもにパソコンや電子レンジを壊された……。そんなときに役立つ「家財保険」って?
でも、もし「家財保険」に入っていたら、お子さんに大事な家具や家電製品を壊されてしまったとしても、修理や買い替えにかかる費用は補償してもらえるかもしれません。
今回は、いざという時に役立つ「家財保険」の基礎知識や使い方について解説します。
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。
家財保険とは
家財保険とはその言葉から連想されるとおり、衣類や家具、家電品などの家財を対象とした保険です。
ただし「家財保険」というのは通称にすぎず、その実態は「家財を対象にした火災保険」です。なお、火災保険は建物と家財に分けて加入するもので、賃貸住宅の場合、入居者は家財に対してのみ加入しています。
火災保険というと火災の被害のみが対象と思うかもしれませんが、火災保険は「住まいの保険」と呼ばれることも多く、住宅にまつわるさまざまなリスクが補償の対象となっています。
火災保険が補償の対象としているリスクの具体例を挙げると以下のようなものがあります。実際に補償される範囲は契約の内容により決まるので注意してください。
・火災、落雷、破裂・爆発
・風災、雹(ひょう)災、雪災
・水災
・盗難
・建物外部からの物体の飛来、落下、衝突
・給排水設備の事故などが原因の水ぬれ
・集団行動などによる暴力行為や破壊行為
・破損、汚損
お子さんが家財をうっかり壊してしまったときは、「破損・汚損」にあたります。もちろん補償の範囲については契約内容によって異なりますが、以下のような例が挙げられます。
・子どもが投げた物がテレビに当たり、破損してしまった
・子どもがぶつかったことが原因で、テーブルの上にあった花瓶が床に落ちて割れてしまった
・子どもがこぼした飲み物がパソコンにかかってしまい、動作しなくなってしまった
ちなみに子どもが壊したときだけではなく、大人が壊しても同じように補償されます。
なお、契約によっては「自己負担額(免責金額)」や「補償上限額」が設定されていることがあります。その場合、損害の全額を保険金として受け取ることはできません。
例えば自己負担額が1万円の契約なら、10万円の損害があっても差額の9万円しか保険金として受け取れないので注意してください。
対象とならないものもあるので注意
家財保険は基本的に、室内にある動産が補償の対象となります。ただし、以下に掲げるものは補償の対象外となりますので注意してください。
・通貨、預貯金証書、切手、印紙など
・動物や植物などの生き物
・データ、ソフトウエアなど
・稿本、設計書、図案、帳簿その他これに類するもの(※「明記物件」は対象)
・1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、美術品など(※「明記物件」は対象)
・他人からの預かり物やレンタル品
「明記物件」については、明記物件として保険証券に記載されたものは対象となります。明記物件にあてはまるもので、補償してもらいたい物がある場合は契約時に申し出ることが必要です。
また、破損・汚損の補償については以上に加え、スマートフォンやメガネなど破損しやすい物が補償の対象外となっていることが多いので、この点も確認してください。
なお、住宅に固定されている物(壁や洗面台など)を壊したときは、家財保険から補償されるわけではありません。持ち家なら建物を対象とする火災保険から補償され、賃貸住宅なら契約するときに通常、あわせて契約する「借家人賠償責任保険」で補償されます。
以上から、お子さんが原因で生じた損害については何らかの補償を受けられる可能性があります。そのため、お子さんが何か壊したときは「火災保険からお金をもらえないかな?」と考えてみてください。
保険証券を確認しよう
ご自身が加入している家財保険で、お子さんが原因で生じた損害を補償してもらえるのかどうかを知りたいなら、保険証券を確認してみましょう。
保険証券には、そのどこかに補償の範囲に関する記載があるはずです。破損や汚損の補償が対象外になっていると、家財保険に加入していても補償されませんのでよく確認してください。
保険証券を見てもよく分からないときは、保険会社のコールセンターや代理店に問い合わせて補償内容を確認し、どのようなケースで補償されるのかということを把握しておきましょう。
執筆者:横山琢哉
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)、フリーランスライター