更新日: 2019.06.12 その他保険
お金が掛け捨てにならず貯まっていく終身保険って必要なの?
「保険での資産形成は不向きだ」という考えや意見もある中で、保険の目的や仕組みを理解した上での選択が終身保険ならば、その方にとっては適正な判断と言えると思います。
執筆者:末次祐治(すえつぐ ゆうじ)
FP事務所 くるみ企画 代表
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会)、企業年金管理士(確定拠出年金)
大学卒業後、旅行会社、外資系生命保険会社勤務を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。
「老後資金の不安をゼロにする」特に中小零細企業の退職金を大企業、公務員並みの2000万以上にするというミッションのもとマネーセミナーや個別相談、中小企業に確定拠出年金の導入支援を行っている。金融商品は出口が大事。「一生のお付き合い」がモットー。
保険の本質は保障です
生命保険の基本の形は3つあります。「定期保険・養老保険・終身保険」です。まず、保険の本質は保障(補償、以下保障)です。いくらの保険金額にするかの設定と保障期間をいつまでにするかの期間設定の、“縦と横”の設定から始まります。
また、掛け捨て型にするか貯蓄型にするか、両方の組み合わせで組むのかは、契約者や受取人の意向によって変わってきます。
保険の最大の役割は「経済的なリスクの補てん」ですから、何かあった時にお金が払われるという特性上、「保険=保障という商品である」ということをまずは理解してほしいと思います。
自動車保険や火災保険に例えた方がわかりやすいかもしれません。何か事故があったときに経済的な補てんをしてくれる権利を、毎月(毎年)の保険料で買っているということになるのです。
よって、保険商品はまずは「保障を買う」ということが大前提にありますので、掛け捨てが中心になります。定期保険や医療保険、ガン保険などです。
保険の種類が変われば貯蓄性がプラスされる
養老保険・終身保険は、掛け捨て型ではなく、貯蓄性がありお金が貯まっていくタイプの保険です。学資保険や円建の終身保険また米国ドル建などの外貨建終身保険など様々なタイプがあります。
この貯蓄性の保険の原点は「養老保険」です。保険金額の設定と保険期間の設定を決めて、無事保険期間が満了になったら(満期になったら)保険金額を満期金としてお返しします、という死亡保障と満期金が同額の保険です。生死混合保険とも言われます。
この養老保険の保険期間を長くしたものが終身保険です。保険会社によって設定は変わりますが、107歳・108歳(以下107歳)の養老保険のことを終身保険と言っています。「107歳まで生きたら死亡保障と同じ満期金を受け取ってください」という保険です。
ただ一般的には、107歳まで生きる人は少ないため、国が「一生涯の保障という意味で終身保険と置き換えてもいい」ということで、保険会社は終身保険として販売しています。
また、107歳まで保険料を払うのは現実的ではないので、60歳や65歳まで保険料を払って、保障は一生涯というタイプが多いのです。
仮に終身保険で107歳まで生きれば、ほぼ保険金額と同じ解約返戻金(解約した際に保険会社から戻ってくるお金)になります。
終身保険ではなく別の方法での中長期の資産形成
上記のような特性から終身保険は、保障を得ながら将来の老後資金準備を目的に掛けている方もいらっしゃると思います。
現在は、円建の終身保険は予定利率がかなり低く、以前と比べたら同額の保障であれば保険料は高く、積立効果が薄れて魅力がなくなっています。よって、米ドルなど外貨建の終身保険を契約する方も増えてきました。
終身保険で資産形成する方法は、毎月、保障という買い物をしていくなかで強制的に保険料を払っていく仕組みとして考えれば、積立ての効果はありますが、老後の資産形成という目的がある方なら、もっと別な金融商品や手段を検討して、バランスよく運用商品の分散をすることも重要になってきます。
同じ保険商品なら変額保険、外貨建の個人年金保険やiDeCo(個人型確定拠出年金)、NISA(小額投資非課税制度)など、税制的にも有利な方法も併せて検討してほしいところです。
色々な選択肢があるなか、自分にとって最適なものを買うためには、色々な方法や手段(商品)があることをまずは知ることが、より大事になってくると思います。その中でバランスの取れた方法を選択していただきたいものです。
執筆者:末次祐治(すえつぐ ゆうじ)
FP事務所 くるみ企画 代表