更新日: 2019.06.14 生命保険

新社会人の疑問 「延長保険、払済保険ってどんな保険?」

執筆者 : 菊原浩司

新社会人の疑問 「延長保険、払済保険ってどんな保険?」
生命保険文化センターによると、日本では平成28年に81%の人がなんらかの生命保険に加入しています。自分自身で用意するリスクへの保障として、保険は重要な位置を占めていると言えます。
 
しかし、人生におけるリスク内容は、加齢や家族構成などの変化により刻々と変化していきます。保険を用いてリスクに備えるには、こうしたリスク構造の変化に追従していく必要があります。
 
一般に生命保険を用いてリスク回避を行う場合、子育て世代では稼ぎ頭の死亡保障を厚くしますが、お子さまの独立後は老後の蓄えへとリスク内容が変化します。こうした変化に保険を対応させる場合、延長保険や払済保険は強力な選択肢となります。
 
今回は、掛け捨てではない生命保険で利用できる延長保険・払済保険について説明させていただきます。
 
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

「延長保険ってなに? 」

延長保険は正式には「延長定期保険」と言い、直接契約できる種類の保険ではありません。延長保険は掛け捨てではない(貯蓄部分のある)保険の、解約・変更によってのみ利用できる保険です。この点から、延長保険は保険の見直しのときに利用することになります。
 
延長保険は、これまでに契約していた定期生命保険などの払い込みを中止(解約)し、その解約返戻金を、新たな保険の一時払い保険料に充当します。つまり、契約の時点で、保険契約期間中に必要となる保険料を全額払い込んでしまうということです。
 
これにより、新たに保険料を負担することなく、最初の定期生命保険と同額の保障を一定期間得ることができます。ただし、その期間は最初に払い込む一時払い保険料の額(=最初に契約していた保険の解約返戻金の額)によって左右されます。
 

「延長保険の特徴」

延長保険は、保険料の支払いを行わずに、変更前の保険と同一の保障を一定期間受けることができる点が最大の特徴です。しかし、延長して保障を受けることができるのは、あくまでも主契約部分に限られます。多くの保険は「主契約」と「特約」によって構成されています。
 
主契約とは、保険契約のメインとなる契約のことです。例えば、生命保険であれば、死亡時に支払われる保険金が、主契約部分となります。その他の病気などにより一定の状態となったときに支払われる保険金は、特約部分となります。
 
延長保険では、主契約部分の延長に限られ、特約部分は解約されてしまいます。完全に同じ保障内容とはならない場合があるので注意が必要です。また、延長保険への変更には医師の診断・病歴などの告知が必要となる場合があり、健康状態によっては変更ができないケースもあります。
 

「延長保険と払済保険の違いについて」

ライフステージの変化に生命保険の保障内容を対応させる延長保険の他に、「払済保険」という方法があります。
 
延長保険も払済保険も、変更後はどちらも「主契約部分のみの保障」「保険料を支払わない」という点で共通しています。
 
ただし、延長保険が「保険金の額を変えずに保険期間を短縮する」仕組みであるのに対し、払済保険は「保険期間は変えずに保険金の額を減少させる」という特徴があります。
 
また、どちらの保険にも、一般的に3年以内であれば所定の追加保険料を納めることで元の保険契約に戻すことができる「復旧」という制度があります。
 
延長保険が変更時に医師の診断などが必要になるのに対し、払済保険ではこの復旧時に医師の診断などが必要になります。健康状態のチェックが入るタイミングが異なりますので、契約変更する際には気を付けたいポイントです。
 

「まとめ」

延長保険と払済保険は、どちらも保険料を支払わずに保険を継続させる制度です。保険料の支払いが難しくなった場合などは、重要な選択肢となります。しかし、保険金の額と保険期間どちらかしか維持できないなど、保障の内容は正反対です。
 
保険料は世帯当たり年間平均19.7万円にもなる、比較的大きな支出です。必要な保障額以上の保険に加入したままですと、保険料の高騰を招いてしまいます。
 
リスクの備えに保険を用いるときは、発生した場合に致命的となるリスクを見定めて保険契約を変化させていくことが大切です。
 
出典
生命保険文化センター「平 成 28 年 度生活保障に関する調査《速報版》」
 
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
 

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