「給付金が下りない! 」保険トラブルを防ぐために(がん給付金編)
配信日: 2019.01.09 更新日: 2019.07.05
前回お話しさせていただいた手術給付金同様、がんの給付金にもたくさんの落とし穴があります。がんになってから給付金が下りないとなっては、時すでに遅し。ご自分の身を守るためにも、今一度がんの保障を確認してみましょう。
執筆者:藤山優里(ふじやま ゆうり)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、第一種証券外務員
防衛大学校卒業後、海上自衛隊に入隊するが、体調悪化のため退職。
退職後、自身のお金に関する知識がないことに危機感を持ちFPの勉強を始める。
現在は保険の見直し業務や転職支援などを通して、ライフプランのトータルサポートを行っている。
https://www.kura-so.com/
がんの給付金、下りない理由は?
最近では、「がんになったら100万円お支払いします」といった「一時金タイプ」のがん保険が出回るようになりました。この一時金は治療に使うもよし、生活費の足しにするもよしということで、非常に好評のようです。
しかし、このタイプのがん保険や、その他がんで入院したら給付金がもらえる従来のタイプのがん保険には、共通して言える落とし穴があります。それが以下の3つです。
(1)免責期間がある
(2)上皮内新生物は保障されないor保障が弱い
(3)回数制限があるものもある
これらの内容をしっかりと見て、がん保険に加入する必要があります。
保障されないわけとは? 詳しく教えて!
それでは、先述の3つについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
(1)免責期間がある
免責期間とは、「この期間はがんになっても保障しませんよ」という期間のことです。この期間にがんになると、ほとんどのがん保険は効力を失います。
この期間はどの保険会社を見てもだいたい「90日」となっています。加入してから3ヶ月はがんの保障がありません。しかも、よくよく保険の内容を見てみると、「がんの診断確定日はその診断の根拠となった検査の実施日とする」となっていることもあります。
これは、加入してから90日以内にがんの検査を受けていたら、90日経ってからがんと診断されたとしても、そのがん診断は「免責期間」に入ってしまうということです。そうなると、保険は無効となります。
がん保険には「90日間の待ち期間(免責期間)」があることに気を付けましょう。
(2)上皮内新生物は保障されないor保障が弱い
がんは「悪性新生物」と表現しますが、上皮内新生物というものも存在します。上皮内新生物は「上皮内がん」とも呼ばれるため、「がん」と思われがちですが、定義が異なります。
がん保険では、悪性新生物と上皮内新生物をはっきりと分けているものがほとんどです。上皮内新生物では「給付金は出ない」または「10%しか出しませんよ」ということもあります。
「がんになったら」の「がん」に、「上皮内がん(上皮内新生物)」も含まれると思って申請したら、給付金が思ったほど出なかったということがあるのです。ただ、最近では上皮内新生物でも悪性新生物と同様に扱う保険会社も出てきていますので、内容をよく見てみましょう。
(3)回数制限があるものもある
がんは転移、再発というリスクもあります。そのため、長期にわたる治療を行うこともあります。そんなときも助けになるのが「がん保険」です。
しかし、がん保険の中には、がんの間いつまでも保障してくれるわけではなく、「1度限り」や「5回まで」といった支払制限があるものもあります。また、「〇年に1回」の保障というところも目を通しておく必要があります。
支払制限のあるがん保険もある、ということを忘れてはなりません。このお話は各保険会社によって特徴が異なりますので、注意が必要です。
パンフレットや約款をよく見てみましょう!
前回の手術給付金と同様、がんの保障にもハードルがあります。
がんは治療費の高い自由診療の治療法も存在します。そのようなときにも、がん保険が役に立ちます。しかし、ハードルを理解していないと、給付金が下りず、できる治療もできなくなってしまうことがあります。
今一度パンフレットや約款に目を通して、どのような状況で保険金が給付されるのかを見直していただくことをお勧めいたします。
Text:藤山 優里(ふじやま ゆうり)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、第一種証券外務員