更新日: 2019.01.10 生命保険

日本の平均寿命が延びたから4月からの生命保険料が下がるって本当?

執筆者 : 蟹山淳子

日本の平均寿命が延びたから4月からの生命保険料が下がるって本当?
2018年4月から、多くの生命保険会社で、新たに生命保険に加入する場合の保険料が引き下げられました。
 
理由は日本人の平均寿命が伸び、死亡率が下がったからということですが、なぜ平均寿命が延びると保険料が下がるのでしょうか。
 
蟹山淳子

Text:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

保険料と平均寿命の関係

2018年4月、「標準生命表」が11年ぶりに改定されました。「標準生命表」とは、年齢別、男女別に死亡率などをまとめた一覧表で、保険会社はそれを基に保険料を決めています。
 
今回の改定では、例えば40歳男性の死亡率は1000人当たり1.48人から1.18人に、40歳女性の死亡率は1000人当たり0.98人から0.88人に下がりました。
 
平均寿命で見ると、男性が2.53歳、女性が1.62歳延びています。死亡率低下の要因は、医療技術の進歩と自殺者が減ったことといわれていますが、特に30代から50代の男性の死亡率は20%以上低下したということです。
 
加入者が死亡したときに保険金を支払う生命保険では、死亡率が上がり平均寿命が短くなると、保険会社は保険金を支払うための準備金を多く積み立てておかなければなりません。ですから、生命保険の保険料を高く設定することになります。
 
逆に平均寿命が長くなると準備金が少なくてすむので、保険料を下げることができるのです。
 

保険料はどのくらい下がるの?

実際に保険料がどのくらい下がったかは、加入する人の年齢、男女別、終身保障か定期保障かによって違います。また、各保険会社によって大きな差が出ています。
 
全体としては、保険期間が10年とか、60歳までというような定期保険のほうが、保険期間が生きている限り続く終身保険より、保険料が大きく下がっています。
 
さらに、加入者が男性のほうが女性より下がる率が高く、国内大手保険会社のほうが、ネット系保険会社より下がる率が高い傾向があります。
 
ですから、男性が国内大手保険会社の定期生命保険に加入する場合なら2割以上、保険料が下がったケースもあります。ただし、条件によっては保険料が上がったケースも見受けられるので注意が必要です。
 

医療保険の保険料はどうなっているの?

今回、平均寿命が延びたことで生命保険の保険料は下がりましたが、医療保険の場合は、長生きによって医療費が多くかかるようになるので、保険料は上がることが予想されます。
 
しかも、近年は医療技術の進歩で受診料が上がっているため、医療保険の保険料は値上げされるものとみられていました。
ところが、実際には据え置きや値下げとする保険会社が多く、保険料が上がる場合も小幅となっているようです。医療保険は、各社の競争が激化しているため、値上げに踏み切れなかったという事情があるとみられます。
 
なお、保険料が下がるのは新しく保険に加入する場合で、これまでに加入している保険の保険料は変わりません。
 
保険を選ぶときは、自分にとってどんな保障がいくらくらい必要なのかを検討し、そのうえで保険料とのバランスも考えながら選ぶとよいでしょう。
 
Text:蟹山 淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表

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