更新日: 2019.01.08 その他保険
失業時の支え「雇用保険の基本手当」 受け取れない場合って?受給の5つの注意点
そんなときであっても、雇用保険へ加入していれば雇用保険の基本手当(俗にいう失業保険や失業給付と呼ばれているもの)を受けることができ、安心して生活の立て直しや求職活動を行うことができます。
ところが、この基本手当は誰でも無条件で受けられるわけではありません。
雇用保険の基本手当は一定の条件を満たした場合にのみ支給されるのです。
そこで、今回は雇用保険の基本手当を受け取るために、特に注意しておきたい5つの点について解説していきます。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
注意点1 就業可能な状態でなければならない
基本手当は、すぐにでも就業可能であるが仕事が見つからないという人に支給されるものです。そのため、次のような状態にある人は支給の対象外となります。
•病気やケガによってすぐには就業できないとき
•妊娠や出産、育児のためすぐには就業できないとき
•定年などで退職の後でしばらく休養しようと思っているとき
•結婚などにより家事に専念しすぐに就業することができないときなど
注意点2 加入期間が一定以上でなければならない
雇用保険の基本手当を受けるには、原則的に離職の日以前の2年間に雇用保険の被保険者であった期間が12カ月以上あることが必要です。
ただし、倒産や解雇、雇い止めなど特別の事情によって「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当する場合には期間制限が次のように変化します。
・離職の日以前の1年間に雇用保険の被保険者であった期間が6カ月以上あること
注意点3 ハローワークへ求職の申込をしなければならない
先の説明の際にも述べたのですが、失業給付を受け取るには、就業可能であるが仕事が見つかっていないということが前提条件となります。
そのため、前職の会社から発行される離職票等を持ち、ハローワークへ求職の申込をすることが必要です。
注意点4 離職後すぐに支給されるわけではない
基本手当の受給には待期期間が定められています。
この待期期間は7日間となっており、ハローワークへ求職の申込をした日からカウントが始まります。そして、最短であれば、8日目から基本手当の支給対象となる日がスタートします。
ところが、この待期期間とは別に給付制限というものも存在しています。
給付制限には次のようなものがあり、それらに該当してしまうと先ほどの待期期間に加え、給付制限の過ぎた後でなければ基本手当の支給が開始されません。
・自己都合での退職や、自己の責めに帰すべき重大な理由での解雇…3カ月
・ハローワークからの職業の紹介や訓練、指導などを正当な理由なく拒んだとき…1カ月
注意点5 定期的に失業の認定を受けなければならない
原則として4週間に一度、失業認定(失業状態であることの確認)を受けなければなりません。失業の認定は定められた日にハローワークで行われることとなり、認定を受けていなければ基本手当の支給対象となりません。
やむを得ない事由のある場合には、認定日を別の日に変更することができるため、どうしても期日に認定を受けることの難しい事情があれば、ハローワークに相談するようにしてください。
基本手当の受給には要件が厳格に定められています
今回、雇用保険の基本手当を受給するにあたって特に注意すべき点を5つ解説しました。ところが、基本手当を受けるにあたってはこれら以外にも必要な要件が存在しています。
基本手当を受けるための要件は厳格となっており、少し要件から外れてしまっただけで支給の対象外とされてしまいます。基本手当の支給対象外とされてしまわないよう、必要な要件を確認し、正しい手順で申請するようにしましょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー