更新日: 2019.01.07 その他保険
保険商品。凄く儲かる?外貨建て変額保険って
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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解禁時間を確保
「外貨(豪ドルAUD)建て変額個人年金保険」ってすごくいい商品のようなイメージですが、冷静になって中身を確認してみましょう。1万豪ドル(1豪ドル90円だとすれば払い込み保険料90万円)の一時払いでの取り扱いで考えてみますと、払い込まれた保険料を「変額部分」と「定額部分」の二つに分けて運用します。変額部分についてはプラスアルファを狙ってリスクをとった運用を行い、定額部分については、運用期間満了時に払い込み保険料と同額を「外貨建てで最低保証する」という仕組みです。
留意するべき1つ目のポイントは「最低保証≠元本保証」という点です。運用している間に、当初AUD=¥90からAUD=¥80へと円高に推移すれば、満了時での円建て受取額は90万円から80万円へと目減りします。2つ目は、定額部分の運用先です。保険会社は通常10年物豪州国債で運用しますが、その利回りは約2.8%(2017年9月15日現在)。一方、豪ドル建て変額個人年金保険(運用期間10年)の定額部分の一般的な顧客向け運用利回りは1.2%前後で提示されています。
収益は誰のもの?
提示利回りと実際の豪州国債利回差(約1.6%)を10年間の複利運用で行えば16%以上になります。もちろん、変額部分の運用が奏功してプラス収益が得られた場合に自動的にその収益を確定できるといったお楽しみ部分も魅力でしょうが、販売手数料などを考えて結局収益は最終的にしっかり投資家である自分たちに帰属するのかどうかは確認する必要があります。
ついつい、今の日本のゼロ金利を基準にしてしまうと、どんな商品も魅力的に映ります。加えて難しそうな単語がたくさん並んでしまうと、考えることをストップしてしまい冷静・客観的・自主的に検討することが面倒に思えてくることもあるでしょう。ですが自分のお金は自分で守り育てていかなければならない時代になって久しく、「とりあえず真面目にコツコツ働けば何とかなる」というのは通用しないことを認識しなければならなくなっています。