フリーランス・自営業者なら知っておきたい、早めの相続対策。いったい何から手をつけるべき?
配信日: 2019.11.18
フリーランスとして、いくつかの仕事を請け負い活動している方、個人事業主として起業する方など、働き方も多様化しています。
フリーで働く、いわゆる「一人親方」は労災保険の適用対象とならないなど、企業で働く方よりもマイナスの側面があります。退職金、事業承継するための贈与・相続対策など、自ら準備をしなくてはなりません。
今回は、そんな方に役立つ情報をお伝えしていきます。
執筆者:藤井亜也(ふじい あや)
株式会社COCO PLAN (ココプラン) 代表取締役社長
教育カウンセラー、派遣コーディネーター、秘書等、様々な職種を経験した後、マネーセンスを磨きたいと思い、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。
「お金の不安を解決するサポートがしたい」、「夢の実現を応援したい」という想いからCOCO PLANを設立。
独立系FPとして個別相談、マネーセミナー、執筆業など幅広く活動中。
<保有資格>
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ファイナンシャルプランナー(AFP) 、住宅ローンアドバイザー、プライベートバンカー、相続診断士、日本心理学会認定心理士、生理人類学士、秘書技能検定、日商簿記検定、(産業カウンセラー、心理相談員)
<著書>
「今からはじめる 理想のセカンドライフを叶えるお金の作り方 (女性FPが作ったやさしい教科書)」※2019年1月15日発売予定
呼び名はたくさん。「フリーランス・個人事業主・一人親方・自営業」
最近ではフリーランスという呼び名が多いのかもしれませんが、個人事業主など呼び名はたくさんあります。
「一人親方」という言葉は、もともと労災保険の用語なので、聞き慣れない方も多いかもしれませんが、今回の記事では「一人親方」で統一させていただきます。
退職金の準備
企業で正規雇用として働いていれば、勤続年数により退職金が支払われますが、一人親方の場合はご自身で貯めていなければ、退職金はどこからも出ません。
そのため、以下の方法等で準備しておく必要があります。
1、自社で退職金の積立をする
2、組合等の退職金制度に加入する
3、民間の生命保険に加入する
4、中小企業退職金共済制度に加入する
事業承継~贈与・相続対策~
多くの一人親方は、自分で行っているビジネスが引き継げればと思うものの、なかなかできていないのが実情です。跡取りがいなくて一代で店を閉じるなど、よく聞く話ですが、そこにはやはり「お金」の問題があります。
平成26年、中小企業庁がまとめた「個人事業主を巡る状況と事業承継に係る課題について」では、事業承継の課題として以下の解答が多くなっていました。
<親族内承継>
経営者としての資質・能力の不足 29.8%
相続税、贈与税の負担 14.3%
<親族外承継>
事業用資産の買取り困難 16%
取引先との関係 11%
親族内で承継する場合でも、贈与税や相続税は必要になってきます。M&Aも中小企業版が進んできていますので、利用を検討したいところですが、やはりそこでも買取価格が問題となる場合があるのです。
資金不足で事業承継できないのは、とても残念なことです。事前の準備が重要になってきます。
○事前にできる準備
・資産の確認
事業用資産や固定資産から、債務を引いた金額に課税されます。
相続の場合、事業用だけでなく個人の資産も含まれますので、親族へ事業承継する場合は意外と高額な税金を支払わなければいけないケースが多いのです。まずは、所有する資産の確認からはじめましょう。
・生前贈与
次に、贈与対策です。経営者が亡くなってしまうと、口座は凍結されます。取引先への支払いが滞るなど、事業承継や相続ができなくなる場合もあるのです。
そのような問題を解消するには、やはり生前に必要な資金を贈与しておく必要があります。事業承継や相続に必要な金額を暦年贈与(非課税枠で贈与)しながら、後継者に資産を移行しておくなど早めの準備が重要です。
・事例の収集
先日、コーヒー豆を焙煎して販売する小売店を事業承継した方とお話ししました。先代には跡取りがいなかったため、知人への事業承継をしたそうです。
親族で事業承継できない場合でも、友人や知人、常連さんが引き継いだといった事例はたくさんあります。このような事例や、資金準備、税金対策などの情報を事前に収集することで、ご自身の事業承継にも役立つと思います。
一人親方はご自身の退職金や事業承継も、自ら準備しなくてはいけません。他業種の一人親方の事例も参考になりますので、今後のビジネスプランとして参考にしていただければ幸いです。
【出典】
中小企業庁「個人事業主を巡る状況と事業承継に係る課題について」
執筆者:藤井亜也
株式会社COCO PLAN (ココプラン) 代表取締役社長