更新日: 2019.01.10 贈与
孫への教育資金の贈与、「毎年」「一括」どっちが良い?
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
暦年贈与
その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった金銭等の価額の合計が110万円(基礎控除額)を超えた場合に贈与税がかかります。
しかし、110万円を超えても、親、祖父母などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるための金銭等で、通常必要と認められ、必要な都度、贈与されたものは、贈与税がかかりません。
なお、ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。
教育資金一括贈与
30歳未満の孫やひ孫に「教育資金」として贈与する場合、1人につき1500万円(学校等以外に支払う場合は500万円)まで非課税になる制度です。制度を利用するには、信託銀行などの金融機関を利用する必要があります。
入金した金融機関を通じて税務署に「教育資金非課税申告書」を提出することで非課税になります。金融機関の教育資金口座は孫やひ孫名義で作成します。孫らが未成年のうちは親が代理人となって教育資金を引き出します。その際、教育機関からの領収証が必要になります。ただし、「領収書等に記載された金額が1万円以下」かつ「その年における同じ費目の合計金額が24万円以下」である場合は、支払内訳などを記載した明細書で代用できます。
教育資金は、入学金、授業料などのほか、資格取得のための各種学校の費用、留学渡航費などにも利用できます。注意点としては、30歳に達した時点で金融機関との契約が終了し、その時点で、使い切れずに口座に残ったお金や教育資金以外の目的で引き出したお金は贈与税の課税対象となる点です。適用期限は平成31年3月31日までです。
教育資金とは
学校等(※)
1500万円まで ① 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など
② 学用品の購入費や修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など
学校等以外
500万円まで <イ 役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの>
③ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
④ スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など ⑤ ③の役務の提供又は④の指導で使用する物品の購入に要する金銭 <ロ イ以外(物品の販売店など)に支払われるもの>
⑥ ②に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの ⑦ 通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費
※「学校等」とは、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、 専修学校及び各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園又は保育所などをいいます。
出典:文部科学省「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(平成27年4月)」
「暦年贈与」と「教育資金一括贈与」のどっちが良い?
「暦年贈与」は、毎年、贈与契約を結んで、孫が管理する預金口座にその都度必要額を振り込む点が煩雑です。
しかし、一括して振り込むよりも、孫とのコミュニケーション回数が増え、その都度、孫から感謝される、と思いますので「暦年贈与」が良いのではないでしょうか。相続税対策として活用する場合は、短期間で、相続財産を圧縮できる「教育資金一括贈与」のほうが節税メリットがあると言えます。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。
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