更新日: 2019.06.14 その他相続

人生後半のライフデザインを考える!終活の3つのポイント

人生後半のライフデザインを考える!終活の3つのポイント
「終活」のイメージが変わりつつあります。かつては「終わりに向けた活動?」と暗い印象でしたが、テレビや週刊誌で取り上げられることが増え、シニアにとっては身近な存在になりました。
 
老後の生活を安心して過ごすために必要な、ワンステップになりつつあります。現実には“気になるけれど後回しになっている”方が多いのではないでしょうか。
 
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

最後まで納得できる形を求めたい

「終活していますか」と問われて、Yesの人は少ないのではないでしょうか。終活は、自分が亡くなった後に、残された家族に迷惑を掛けないように諸々を整理しておくことが主な目的ですが、内容は多岐にわたります。
 
今回は代表的な3つについて考えます。
 
(1)お葬式・お仏壇・お墓
先祖代々のお墓に入ることが、これまでは一般的でした。最近は「墓じまい」を選ぶことも増え、常識に囚われない選択肢が増えています。自分の代だけではなく子々孫々にも関わることですので、家族で話し合うことが大切です。
 
お葬式に関しては、生前に予約するサービスが広がっています。自分らしいお葬式をしたいということで、遺影用の写真を撮影する人も増えているようです。ご会葬御礼の品といえばハンカチが定番ですが、チョコレートにされた方の話を聞きました。事前に決められていたのではと推察します。「このような形にして欲しい」という希望を伝えておくと、残された家族も動きやすい筈です。
 
お葬式を執り行う家族も高齢化していますので、「故人の遺志で家族だけで見送りました」という、いわゆる家族葬が増加する傾向も頷けます。
 

自分のモノは自分で片付ける

(2)身辺整理
シニア世代は高度成長期を担ってきた世代です。大いに働き、消費意欲も物欲もあります。収入が右肩上がりの時代には、高額商品も購入してきました。モノを沢山持っている世代だと考えられます。
 
一方、親からは「モノを大事に使う」ことを教えられてきましたので、「モノを捨てられない」世代でもあります。これまで断捨離や片付けブームがありましたが、自宅はモノで溢れています。
遺品整理業者も増えていますが、抵抗がある遺族も多いと考えます。やはり自身の手で溢れたモノの片付けをすることが望ましいです。
 
遺族にとっては一つ一つが故人を偲ぶ形見になりますので、整理をするのに時間がかかります。整理が進まないことが、やがて空家問題に繋がることもあるのではないでしょうか。終活の第一歩として、身辺整理を始めることをお勧めします。
 

相続対策が長生き対策に変化

(3)資産の棚卸
「相続で揉めないためには、遺言の作成が必須」といいます。遺言を作成するためには、まず相続財産の棚卸をすることが大事です。兄弟で争うことなく平等に分割するにはどうしたら良いか?が問われてきました。最近は民法の改正でも見られるように、配偶者の生活を守ることを優先的に考える傾向があります。
 
これまでは先代から引き継いだものを、次世代に渡すことが重要でした。長寿社会では「子どもに少しでも残したい」という話より「子どもに頼らず生活したい」にシフトしているようです。そのためには、介護施設に入居することも選択肢のひとつです。自宅で母親の介護をされている知人は「デイサービスと訪問ヘルパーさんの時間に合わせた毎日を送っている」と話しています。彼女の負担は大きいようです。
 
自宅についての考え方は変化しています。空家問題があるように、子どもが実家に回帰しない例が増えています。相続財産の金額について、平成20年は不動産が55%を占めていましたが(現預金は21.5%)年々割合は減少し、平成29年になると不動産は41.9%(現預金は31.7%)というデータがあります(下図表参照)。不動産を相続発生前に売却して現金化することも増えていることが分かります。コンパクトな家に住み替える、介護施設に入居するなど終の棲家への引越しも終活では大きな課題です。
 

 
寿命は延びています。終活=人生後半のライフデザインを考えることです。今や「終わりに向けた活動」ではなく、「生きるための活動」と位置づけされているからこそ、注目されているのだと思いました。
 
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
 

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