更新日: 2019.06.14 その他相続
二世帯同居を提案されたら確認したい3つのこと
「心穏やかに暮らせるのか」「自身の妻(あるいは夫)とうまくやっていけるのか」などといった不安から、後ろ向きな答えを返してしまうかもしれません。しかし、性急な回答は禁物です。
いったん冷静に状況を整理して、以下の3点を確認してから答えを出しても遅くはないでしょう。もしかしたら、親御さんからの相続税対策の提案かもしれません。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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相続税とは
相続税とは、一定金額(基礎控除や配偶者控除)を超える財産を受け取った場合にかかる税金です。
対象となる財産には、土地・建物・現金などがありますが、割合の多くを占めるのは、不動産(土地・建物)のようです。
子供たちが換金性の高くない土地・建物を相続する場合、その相続税の納付は大きな負担となります。同居の提案は、親御さんの「負担をかけたくない。でも土地・建物は遺したい」という気持ちのあらわれかもしれません。
確認したい3つのこと
確認しておきたいのは、以下の3つのポイントです。
1.両親とも存命か、すでに一方が他界しているのか
相続税について考えるとき、被相続人(亡くなった人。この場合、親)に配偶者がいるか否かで、状況は大きく異なります。
相続税は、「配偶者控除」が1億6000万円もしくは配偶者の法定相続分のいずれか多いほうが適用されます。つまり、夫婦間の相続では、配偶者が受け取る財産が1億6000万円以下であれば、納税の必要はありません。
つまり、相続する子から見れば、両親のうちどちらかがすでに他界している場合のほうが、納税対象者になる可能性が高くなるということになります。
2.土地・建物の推定評価額は、基礎控除額を上回っているのか
平成27年に相続税が改正されました。基礎控除の金額の引き下げに伴い、相続の際に、相続税の申告・納税が必要となる人の対象範囲が広がりました。
土地・建物の評価額と、相続する人数によっては、納税額を想定しておかないと対応に困る場合があるかもしれません。
【改正前】5000万円+(1000万円×法定相続人の数)
【改正後】3000万円+(600万円×法定相続人の数)
例えば家主が亡くなり、配偶者と子供2人が残された場合、基礎控除額は以下のようになります。
【改正前】5000万円+(1000万円×3人)=8000万円
【改正後】3000万円+(600万円×3人)=4800万円
改正前は相続財産の合計額が8000万円以下なら納税対象外でしたが、改正後は4800万円を上回ると、その額に対して納税義務が発生するというわけです。
土地・建物の評価額は、固定資産税の通知書に記載されている額を参照すると、おおよその見当がつくでしょう(親に見せてと頼みづらい場合は、近隣の不動産売買価格を参考にする程度でもいいかもしれません)。
3.土地・建物の評価額を下げられるかどうか
評価額が基礎控除額を上回っても、相続税が生じない場合があります。
「小規模宅地等の特例」にあてはまる場合です。おおざっぱに言えば、被相続人と同居していたら、330平方メートルまでの土地の評価額を80%減額しますよ、という内容です。
たとえば評価額5000万円の土地を相続する場合、5000万円の80%=4000万円を減額して、5000万円-4000万円=1000万円を相続したとみなしてくれるのです。
いかがですか?親が同居を提案した理由はここにあるのかもしれません。もっとも、同居をしなくても同様に評価額を下げられる場合があります。自身が持ち家に住んでいない、被相続人に配偶者や同居の親族がいない、など複数の条件を満たす場合です。これは「家なき子特例」と呼ばれています。
どうしても同居したくなくて、納税の対象にもなりたくないという方は、この特例の適用もご検討ください。
出典:国税庁:相続税の仕組みの分かりやすい解説「相続税のあらまし」・「相続税の申告要否の簡易判定シート」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部