【お坊さんが解説】葬儀屋さんはCMで「30万円~」と言ってるのに、平均価格は「119万円」! 葬儀代が上がっていく理由とは?“費用を抑える方法”についても解説

配信日: 2025.06.21

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【お坊さんが解説】葬儀屋さんはCMで「30万円~」と言ってるのに、平均価格は「119万円」! 葬儀代が上がっていく理由とは?“費用を抑える方法”についても解説
大切な人を亡くした悲しみの中、遺された家族は不慣れなお葬式をつとめます。
 
家族が困らないように、生前から葬儀について考えておかなければと考えている人もいるでしょう。ただし、「葬儀屋さんのCMで30万円~と言っていたから、50万円も用意しておけば足りるかな」と思ったら大間違いです。
 
「終活」サービスを提供する株式会社鎌倉新書の2024年の調査によると、葬儀代の平均は118万5000円でした。どうしてこんなに高くなるのでしょう。どうすれば葬儀代を抑えて、後悔のないお葬式をしてもらうことができるのでしょうか。
 
500件以上のお葬式で導師を務めた僧侶(お坊さん)が解説します。

葬儀社が宣伝で出している金額と、実際の葬儀代の隔たり

近年はテレビのCMやチラシ、インターネット上のサイトで、お葬式の宣伝を見かけることが多くなりました。そこには金額もはっきりと明示されています。
 
家族葬だと10万円を切っていたり、一般葬でも40万円を切っていたりと、ずいぶんお値打ちな額をうたっています。ただこの金額は、実情と大きくかけ離れていると言わざるをえません。
 
前述の鎌倉新書の2024年の調査によると、お葬式代の全国平均は118万5000円です。執り行った葬儀の種類で分類すると、一般葬が161万3000円、家族葬が105万7000円、一日葬が87万5000円、そして直葬が42万8000円でした。
 
葬儀社が宣伝で出している金額よりもずいぶん高くなっています。どうしてこんなに高くなるのでしょうか。それは葬儀社が「〇〇万円ポッキリ」ではなく、「〇〇万円から」と言っているように、最も簡素なグレードで最も参列の人数が少ないケースでの料金をうたっているからです。
 

葬儀代が上がっていく理由

葬儀代が上がっていくのは、葬儀社がうたっている金額からの上振れと、オプション料金の加算があるからです。葬儀代の主な内訳は、葬儀基本料金、飲食代、返礼品代となっています。


●葬儀基本料金:斎場利用料、火葬場利用料、祭壇、棺、霊柩車代を含む搬送費、骨壷、供花など、葬儀を執り行うための料金
●飲食代:通夜ぶるまい、精進落としなどの飲食費
●返礼品代:香典に対するお礼の品物の代金

重要なことは、それぞれグレード・数の増加によって上振れの余地があるということです。
 
祭壇や棺・霊柩車などは、それぞれ最も簡素なグレードと最高グレードでは、金額は何倍も違ってきます。大切な家族に対して、「最後にしてあげられること」と思うと、全て最も簡素なグレードを選ぶ人は少ないのかもしれません。
 
また、飲食代や返礼品代は参列者の人数に比例します。ですから、参列の人数が増えるほど、金額は高くなります。これらの上振れによって、実際のお葬式代は、跳ね上がっていくのです。
 
さらに、湯灌(ゆかん)サービスやメモリアル映像の作成といった、数万円のオプションを複数つけることによって、気がついたら数十万円アップしていた、ということも珍しくはないようです。
 

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どうしたら葬儀代を抑えることができるのか

葬儀代を抑えて、後悔のないお葬式を執り行ってもらうためには、事前準備が大切です。
 
まず、お葬式に参列してもらう人をピックアップして、大体の人数を把握します。次に、2~3件の葬儀場を見学して、見積もりを取りましょう。
 
葬儀場を見学して相見積もりを取れば、祭壇や棺、霊柩車などの、おおよその値段が分かります。すると、CMにうたっているような金額ではすまないことを理解しますし、現実的な相場が分かります。
 
この段階まできたら、自分の価値観に合わせて、何に比重を置いてお葬式を執り行ってほしいのかを考えてみてください。
 
なんの事前準備もなく、家族が亡くなって混乱しているときに、遺された人が正しい判断を下せるはずがありません。終活を進めるなかで事前に正確な情報をつかむこと。
 
そして自分にとって大事なこととそうでないことを取捨選択して、お葬式を考えていく。このプロセスを踏むことが、葬儀代を抑えて、後悔のないお葬式を執り行ってもらう秘訣です。
 
「お別れは寂しかったけれど、素敵なお葬式になったな」と思ってもらえるようなお葬式の準備をしてください。
 

出典

鎌倉新書 【第6回】お葬式に関する全国調査 2024年
 
執筆者 : 桂ひろし
2級FP技能士、僧侶

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