孫の教育費、今のうちに“まとめて渡したい”のですが、「1500万円まで非課税」って本当ですか?教育資金贈与の制度を解説!

配信日: 2025.06.18

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孫の教育費、今のうちに“まとめて渡したい”のですが、「1500万円まで非課税」って本当ですか?教育資金贈与の制度を解説!
子どもや孫の将来のために教育費を援助したいと考える祖父母世代の方もいるでしょう。そんなときに検討したい方法に、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度があります。これは条件を満たした場合に最大1500万円までの贈与が非課税になる制度です。
 
そこで今回は、教育資金贈与の非課税制度の概要、メリット・デメリットについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度とは?

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度とは、平成25年4月1日~令和8年3月31日までの間に祖父母や両親などの直系尊属が30歳未満の子や孫に教育資金を一括で贈与した場合、一定の条件を満たせば贈与税がかからない制度です。学校教育費の非課税限度額は最大1500万円で、そのうち学校等以外に支払う費用は500万円までとされています。
 
文部科学省によると、対象となる学校教育費には次のようなものが該当します。

●入学金、授業料、入園料、保育料
●修学旅行、遠足費
●入学検定料
●在学証明書、卒業見込証明書、成績証明書などの手数料
●PTA会費
●学校の寮費

学校以外に支払う費用として、塾やピアノなどの習い事、留学費用、通学定期券代なども対象です。ただし、こうした学校以外に支払う費用に関してはあくまで1500万円の中で500万円を上限にしています。合わせて2000万円まで非課税になるわけではないので覚えておきましょう。
 

メリットとデメリット

教育資金の非課税制度には、110万円を超える贈与を非課税かつ一括で行えるというメリットがあります。子どもや孫一人につき最大1500万円が非課税です。そのため、節税対策として多額の資金を一括で贈与したい場合には有効な方法といえるでしょう。
 
また、この制度を利用するためには教育資金管理契約を結んだ金融機関の口座で贈与された資金を管理します。お金が必要な場合は、その都度領収証などを提出して払い出しする必要があるため、教育費以外に資金を使ってしまうのを防ぐ効果も期待できるでしょう。
 
一方で、贈与を受ける受贈者が年齢制限である30歳に達した際に残額がある場合には、贈与税の対象になる点に注意が必要です。また、教育費を支払った際には、金融機関へその都度領収証などを提出しなければならないため、ATMなどですぐに引き出すこともできません。出金には一定の時間と手間がかかることを覚えておきましょう。
 

30歳で残額があった場合にどれ程の贈与税がかかるのか?

ここでは、贈与を受ける受贈者が30歳になった時点で300万円の資金が残った場合、どれほどの贈与税がかかるのかを検証していきます。贈与税は財産の合計額から基礎控除110万円を引いた金額に課税価格に応じた税率をかけて算出します。
 
・課税対象額:300万円-基礎控除110万円=190万円
 
同年に、これ以外の贈与はないとした場合、一般税率の10%をかけて算出される贈与税は19万円となります。
 
もし30歳になった時点での残額が基礎控除の110万円を超える場合には、原則贈与の発生した翌年2月1日~3月15日の間に申告と納税が必要になりますので忘れずに行いましょう。
 

教育資金の非課税制度を使うと最大で1500万円までが非課税になる

教育資金の非課税制度は、子どもや孫の教育費を支援できる有効な手段の1つです。一方で、制度を利用するには金融機関での契約や、支出ごとの領収書提出などの手間がかかるという側面もあります。さらに、使い道が制限されていることや、受贈者が30歳になった時点で残額がある場合には贈与税の対象になる点にも注意が必要です。
 
制度の詳細や最新情報については、税理士やファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談しながら手続きを進めると安心です。
 

出典

文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQ&A
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4429 贈与税の申告と納税
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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