非常用に貯めていたタンス預金「700万円」。元から子どものために貯金していたので、子どもにあげても「税金」はかかりませんよね?

配信日: 2025.06.18

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非常用に貯めていたタンス預金「700万円」。元から子どものために貯金していたので、子どもにあげても「税金」はかかりませんよね?
いつか子どもがお金を必要としたときのために、と自宅でお金を少しずつ貯めている家庭もあるでしょう。しかし、貯めたお金をそのまま子どもに渡すと、税金が課される可能性があります。
 
課税される条件を知っておくと、子どもの税金負担を軽減できるでしょう。今回は、タンス預金を渡したときに課税されるのか、また課税されないための渡し方などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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子どものためのタンス預金でも課税される?

たとえ子どものためのお金であっても、お金の持ち主が親であったなら、子どもに渡したときに贈与として課税される可能性があります。民法第549条によると「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」と定められています。
 
そのため、親が貯めたお金を無償で子どもへ渡すと、法的には贈与行為と判断されるでしょう。もし贈与と判断されると、お金を受け取った側である子どもに対して税金が課されます。
 
また、贈与税には一般税率と特例税率があり、もらう人やあげる人によってどちらを適用するかが変わります。
 
贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の子どもが親や祖父母などの直系尊属から贈与されたときは特例税率が適用され、贈与税額の求め方は以下の通りです。

(1)1年間に贈与された金額を合計する
(2)1年間に受けた贈与総額から基礎控除(110万円)を引く
(3)(2)の金額に特例税率をかけて控除額があれば差し引く

例えば、子どもが成人してから700万円のタンス預金を親から受け取り、ほかに贈与はなかったとしましょう。この場合、基礎控除を引いた590万円が課税対象です。国税庁によれば、590万円のときの特例税率は20%、控除額は30万円のため、「590万円×20%-30万円」で88万円が課されます。
 
なお、同じ年に直系尊属以外からも贈与されていたときは、税額の計算方法が変わるため注意しましょう。
 

同じ年に両親や祖父母以外からも贈与されたときの税金の計算方法

もし成人している子どもや孫が直系尊属以外からも財産を受け取っていたり、未成年の人が贈与されたりしたときは、一般税率が用いられます。贈与された金額によっては、一般税率の方が少し高くなるでしょう。
 
もし同じ年に特例税率と一般税率の両方が適用される贈与を受けたときは、以下の手順で計算します。

(1)1年間に受けた贈与総額を合計する
(2)1年間に受けた贈与総額から基礎控除を引く
(3)贈与総額に一般税率が適用されると仮定して税額を計算する
(4)(3)で求めた金額に、贈与総額における一般贈与財産の割合をかける
(5)贈与総額に特例税率が適用されると仮定して税額を計算する
(6)(5)で求めた金額に、贈与総額における特例贈与財産の割合をかける
(7)(4)と(6)の合計が負担する税額

計算手順が変わるので、贈与するときは、ほかの人からも贈与されていないか子どもに確認するとよいでしょう。
 

子どもに負担をかけずにお金を渡す方法は?

親から子など扶養義務者の関係にある人同士での贈与は、条件を満たしていれば非課税になる項目があります。仕送りもそのひとつです。
 
国税庁によると、生活費や教育費の支援目的で渡したお金は、通常必要と認められる範囲、かつ必要なタイミングで渡したものであれば、非課税になるとされています。700万円を一度に渡すのではなく、仕送りなどとして必要な都度渡せば生活費の支援となり、非課税になるでしょう。
 
また、大学入学の際の入学金や教材費、定期代などが必要になったときに渡せば、教育費の支援として非課税になる可能性があります。
 

子どものための貯金であっても状況によっては課税される場合もある

子どものために貯めていたとしても、タンス預金の持ち主は親です。そのため、多額のお金を渡すと、贈与したと判断されて税金が課される可能性があります。また、両親や祖父母から成人した子どもに渡す場合と、それ以外の場合では税率が変わることもあるので注意しましょう。
 
子どもの税金負担を少しでも減らしたい場合は、仕送りとして生活費を送るか、教育費が必要になったときに必要な金額を渡すようにするとよいでしょう。
 

出典

e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第三編 債権 第二章 契約 第二節 贈与 第五百四十九条(贈与)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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