祖父母が昔貯めたタンス預金「500万円」を使いきれないからとくれました。でも老後資金は足りるのでしょうか?

配信日: 2025.06.18

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祖父母が昔貯めたタンス預金「500万円」を使いきれないからとくれました。でも老後資金は足りるのでしょうか?
祖父母や両親などから、それまで貯めてきたお金を受け取るケースがあります。しかし、老後の資金が想定したよりも必要になるケースがあるので、多額のお金を受け取る際は、生活費に影響がないか確認した方がよいでしょう。
 
今回は、老後のお金はいくらくらいあればよいのか、またお金を受け取った場合にかかる贈与税などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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老後のお金はいくらくらいあればよい?

総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上かつ夫婦のみの無職世帯の平均消費支出は月25万6521円、非消費支出は月3万356円の合計28万6877円でした。一方、平均実収入は月に25万2818円です。
 
平均実収入には年金を始めとする社会保障給付も含まれているため、差額の月3万4058円を夫婦の貯金でまかなう必要があります。もし、月に3万4058円を65歳から90歳になるまでの25年間毎月必要になったとすると、「3万4058円×12ヶ月×25年」で1021万7400円です。
 
つまり、祖父と祖母の貯金が合計1100万円程度あれば、生活はまかなえる計算です。
 
祖父母が「タンス預金は使わない」という理由でお金を渡そうとするときは、この試算も基に本当にお金に問題がないかどうか確認した方がよいでしょう。特に、老後は通常の出費のほかに病気やけがで多額の出費が発生する可能性も少なくありません。
 
孫のためと思ってお金をくれるとしても、まずは祖父母たちの生活に影響がないか確認しましょう。
 

高額なお金を受け取ると課税対象になる可能性がある

もし、祖父母の貯金に余裕があり、タンス預金を受け取る場合、受け取った金額によっては贈与税が課される可能性があります。課税されたことに気づかないまま放置していると、あとで税務署から通知が届く場合もあるので、注意が必要です。
 
贈与税が課されるかどうかは、基礎控除の110万円を超えているか否かで変わります。もし、110万円を超えていれば、超えた金額に対して税金がかかるでしょう。
 
例えば、成人している孫が祖父母からタンス預金の500万円を受け取ったとします。基礎控除額を差し引いた390万円が課税対象となり、国税庁によれば税率は15%、控除額は10万円なので「390万円×15%-10万円」となり、48万5000円の税金が課されます。
 
なお、110万円の基礎控除額は1年間に贈与された財産の合計額から差し引きます。祖父母からの贈与以外にも贈与がある場合、税額は変動します。
 
また贈与税では、財産を受け取った側が税金を支払うため、今回のケースだと孫が納付しましょう。
 

贈与税がかからないようにするためにはどうすればよい?

一度に基礎控除額以上の財産を受け取ると税金が課されますが、一部例外もあります。贈与税には、非課税となる項目も示されているため、その項目を活用して受け取るとよいでしょう。
 
例えば、孫の教育費や生活費支援の目的であれば、通常必要と認められる範囲なら非課税です。仕送りとして水道光熱費や家賃を支援してもらったり、学校で必要な教材を買ってもらったりするのもひとつの方法です。
 
ほかにも、年末年始の贈答は社会通念上相当と認められる範囲であれば非課税のため、お年玉も活用できます。ただし、500万円をお年玉として受け取った場合、高額すぎると判断されて贈与税の課税対象になる可能性があるので、受け取るのは金額の一部にした方がよいかもしれません。
 
課税対象となる金額かの判断がつかないときは、税理士を始めとする専門家に相談することも選択肢のひとつです。
 

もし夫婦で1100万円程度の貯金があれば老後資金として足りる可能性はある

総務省統計局のデータによると、65歳以上の夫婦高齢者無職世帯の場合、老後には年金などの社会保障給付のほかに、支出の不足分として月3万4058円が必要です。不足分は基本的に貯金から補うことになるでしょう。祖父母が貯金をしっかりしており、タンス預金を孫に渡しても生活に影響が出ないのであれば、受け取っても問題ないと考えられます。
 
ただし、タンス預金であっても受け取ったときに110万円を超えていると贈与税が課される可能性があります。500万円のタンス預金は、課税対象となる場合があるので、注意しましょう。
 
できるだけ課税されたくないなら、生活費や教育費として支援してもらったり、お年玉としてもらったりする方法があります。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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