自分1人だけで親から「4000万円」相続するのですが、相続税は何円かかりますか?
配信日: 2025.06.15

「相続税はとても高いイメージがあるけれど、実際はいくら払うことになるの?」「相続税はどのように計算するの?」などといった疑問を持たれている方も、珍しくないでしょう。
そこでこの記事では、相続税の基本的な仕組みや、4000万円を1人で相続する際の具体的な税額を計算し、相続税を抑える方法について解説します。

行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
相続税の計算方法
相続税の金額は、単純に「相続した金額×税率」ではなく、基礎控除額を差し引いた上で、課税対象額に税率をかけて計算します。相続税の基本的な計算式は下記のようになります。
・課税遺産総額=相続財産-基礎控除額
・相続税額=課税遺産総額×相続税率-控除額
では、もう少し詳しく見ていきましょう。
相続税には、「基礎控除」という非課税枠があり、その額は下記になります。
・基礎控除額=3000万円+(法定相続人の数×600万円)
今回、相続人は1人(自分のみ)なので、基礎控除額は以下のとおりとなります。
・基礎控除額=3000万円+(1人×600万円)=3600万円
つまり、相続財産が3600万円以下なら相続税はかからないわけです。しかし、今回のケースでは4000万円を相続するため、相続税の課税対象となる部分は400万円です。
具体的な相続税の金額は?
相続税の税率は、課税遺産総額に応じて表1のように決まります。
表1
課税遺産総額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000万円以下 | 10% | なし |
1000万円超~3000万円以下 | 15% | 50万円 |
3000万円超~5000万円以下 | 20% | 200万円 |
※筆者作成
今回の課税遺産総額は400万円なので、税率は10%となります。すると、かかる相続税の額は40万円ということになります。
なお、参考として知っておくべき点に「相続に当たり、借金やローンなどの負債をも同時に相続した場合、その分だけ課税遺産総額が減る」という事柄があります。今回の場合、仮に相続する負債の総額が400万円あれば、相続税は0円になります。
相続税を抑える方法
相続税額は、生前の対策によって抑えることができます。
例えば、生命保険の「非課税枠」を活用する方法があります。その額は下記の計算で算出できます。
・生命保険(死亡保険金)の非課税枠=500万円×法定相続人の数
今回、相続人は1人なので、500万円までの生命保険金は非課税となります。
そのほかに「生前贈与」を活用するという手もあります。なぜなら、年間110万円以下の贈与は非課税となっているからです。今回のケースでいえば、年間110万円以内で合計400万円を生前贈与していれば、相続税をゼロにすることができた可能性があります。
とはいえ、このように相続税を抑えるには生前の対策が重要になります。基本的に、相続発生後に相続税を抑えるのは難しいと考えてよいでしょう。
まとめ
4000万円を1人で相続した場合、その相続税額は40万円となります。
相続税を抑えるための方法には、生前贈与や生命保険の活用などがありますが、基本は生前の対策が必要となります。
相続税は最低税率が10%であることから、発生すると高額になることも珍しくありません。相続税については納税のことも考え、速やかに計算し、確認することをおすすめします。
執筆者:柘植輝
行政書士