銀行の窓口で「通帳アプリ」を勧められて切り替えましたが、相続のときはどうなるのでしょうか? 「紙の通帳」に戻したほうがよいのでしょうか?

配信日: 2025.06.15

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銀行の窓口で「通帳アプリ」を勧められて切り替えましたが、相続のときはどうなるのでしょうか? 「紙の通帳」に戻したほうがよいのでしょうか?
近年、銀行の窓口で通帳アプリへの切り替えを勧められることが増えてきました。ペーパーレス化による利便性や環境への配慮もあり、多くの人が通帳アプリを利用しています。しかし、将来の相続手続きにおいて、通帳アプリの利用がどのような影響を及ぼすのか不安に感じる方もいるでしょう。
 
本記事では、通帳アプリへの切り替えが相続手続きに与える影響や、必要な対策、紙の通帳に戻すべきかの判断基準について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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通帳アプリへの切り替えが相続手続きに与える影響

通帳アプリは、スマートフォンで手軽に口座残高や取引明細を確認できる便利なサービスです。紙の通帳が不要になるため、環境にも優しいといわれています。
 
実際、紙の通帳があれば、相続人が遺品整理のときなどで見つけやすく、そこから口座の存在や残高を把握することができます。
 
一方、アプリの場合はスマートフォンのなかでしか情報が残らず、ログイン情報が分からなければ確認が困難です。特に、スマートフォン自体にロックがかかっていたり、アカウント情報を相続人が知らなかったりすると、銀行口座の存在にすら気づかれない可能性があります。
 

通帳アプリ利用時の相続対策と注意点

では、通帳アプリを利用していても、相続で困らないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。ここで有効となるのが、次の4つの対策です。
 
1. 銀行口座の一覧を作っておく
 
自分がどの銀行に口座を持っているか、支店名や口座番号などをまとめたリストを作成し、信頼できる家族に伝えておくと、相続人がスムーズに手続きを進められます。
 
2. ログイン情報を安全に保管する
 
アプリやインターネットバンキングのID・パスワードなどの情報は、安全な場所にメモを残し、必要に応じて家族に伝える準備をしておきましょう。パスワード管理アプリの活用も効果的です。
 
3. 定期的に明細を印刷・保存する
 
アプリでしか確認できない取引履歴は、定期的なPDFでの保存や印刷してファイルに保管しておくと安心です。銀行によっては、過去の明細が数ヶ月分しか見られない場合もあるため、こまめな保存が大切です。
 
4. 遺言書に預金情報を記載する
 
法的効力のある遺言書を作成し、どの口座にいくらあるか、どう相続してほしいかを明記しておくことで、相続手続きの混乱を防ぐことができます。
 
このように、通帳アプリを使っていても、事前に準備をしておけば、相続時に家族が困ることは少なくなります。
 

紙の通帳に戻すべきか?判断ポイントは?

とはいえ、「やっぱり紙の通帳のほうが安心」と感じる方もいるでしょう。通帳アプリから紙の通帳に戻すことは可能ですが、注意すべきポイントもあります。
 
・戻す際に手数料がかかる場合がある
 
多くの銀行では、紙の通帳へ戻すには1100円(税込み)程度の発行手数料が必要です。再び紙通帳に戻したい場合は、窓口での手続きが必要となります。
 
・通帳を管理できる環境か
 
高齢の親が利用する場合などは、スマートフォンより紙の通帳のほうが扱いやすいこともあります。逆に、若い世代であればアプリ管理のほうが向いているケースもあります。
 
・相続人のITリテラシーを考慮する
 
相続手続きを行う家族がスマートフォンやパソコンに不慣れな場合、紙の通帳があることで大きく負担が減る可能性があります。
 
つまり、「紙の通帳に戻すべきか?」は、家族構成や相続人の状況、普段の口座の使い方をふまえて判断するのがよいでしょう。
 

通帳アプリと相続手続きの対応策

通帳アプリの利用は、日常の銀行取引において便利な一方で、相続手続きにおいては注意が必要です。相続人が口座の存在や取引履歴を把握しにくくなる可能性があるため、事前に適切な対策を講じることが重要です。
 
銀行口座の一覧作成、ログイン情報の管理、取引明細の保存、遺言書の作成などを行うことで、通帳アプリを利用していても相続手続きを円滑に進めることが可能です。自身や相続人の状況を考慮し、必要に応じて紙の通帳への切り替えも検討しましょう。
 
将来の相続手続きに備え、今からできる準備を進めておくことが、家族の負担を軽減し、円満な相続を実現するカギとなります。
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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