祖母が「生前贈与で節税」と言って「100万円」くれました。来年もまた100万円もらえるらしいのですが、節税になるのでしょうか?
配信日: 2025.06.14

今回は、「毎年100万円をもらっても節税になるのか?」「贈与税はかからないのか?」「相続税の対象になる可能性は?」といった疑問に答えながら、生前贈与の基本や注意点についてわかりやすく解説します。

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目次
年間110万円までなら贈与税はかからない
贈与税には「基礎控除」という非課税枠があり、1月1日~12月31日の1年間に受け取った金額が110万円以下であれば、贈与税は発生しません。
つまり、祖母から100万円をもらっても、他に誰からも贈与を受けていなければ税金はかかりません。
この非課税枠は「1人が1年間に受け取る合計額」に適用されるため、仮に父や母など他の人からもお金をもらって合計が110万円を超えると、超えた分に対して贈与税が課税されます。
贈与税は金額や贈与者と受贈者の関係によって税率が異なり、少額ならそれほど高くはありませんが、知らずに超えてしまうと申告漏れになることもあります。来年ももらう予定がある場合は、金額の合計を把握しておくことが大切です。
生前贈与で相続税は減らせる? 注意すべき落とし穴も
生前に財産を贈与することで、将来的に相続財産の総額が減り、相続税の節税につながるというのは事実です。ただし、税制上のルールには注意が必要です。
特に知っておきたいのが「持ち戻し制度」です。2024年の税制改正により、相続開始前3年以内から7年以内に行われた贈与が相続税の課税対象に加算されるようになりました。ただし、この加算期間の延長は段階的に適用され、2031年以降の相続から7年分全てが対象となります。
ただし、相続開始前の7年間のうち、直近3年を超える期間に行った贈与は、総額100万円までが相続財産に加算されないという特例もあります。たとえば、祖母が亡くなる5年前から4年間、毎年100万円を贈与されていた場合、100万円は課税対象から除外され、300万円が相続税の対象になります。
こうした制度は頻繁に見直されるため、贈与を長期的に計画する場合は、税理士など専門家の助言を得ることが安心につながります。
節税効果を活かすには「贈与の証拠」が重要
いくら「贈与税がかからない金額」とはいえ、証拠がなければ、あとで税務署に「これは相続財産隠しでは?」と疑われることもあります。贈与をきちんと成立させるには、次のようなポイントが重要です。
・贈与契約書を作成する
書式は簡単なもので構いませんが、「いつ」「誰が」「誰に」「いくら」贈与したかを明記し、両者が署名・押印することで、確実な証拠になります。
・現金は振り込で渡す
手渡しでは証拠が残りにくいため、受贈者名義かつ受贈者が管理している銀行口座に振り込むことが望ましいです。
・毎年個別に贈与する
「10年で毎年100万円あげる」などと計画的に定めていたり、毎年同じ時期に同じ金額を贈与したりすると、一括で贈与税がかかる「定期贈与」とみなされる恐れがあります。そのため、毎年その都度「贈与契約書を作成し、振り込みを行う」という手続きが理想です。
まとめ:仕組みを理解すれば、生前贈与は安心して使える
年間110万円以内の贈与は非課税であり、制度を理解すれば安心して受け取れます。また、将来的な相続税の節税効果も見込めますが、制度の改正や相続税との関係性を正しく理解しておくことが重要です。
特に、贈与の証拠を残すことや定期的な贈与とみなされない工夫は、トラブル回避のために欠かせません。
もし「何年も続けて贈与を受ける予定がある」「将来の相続も心配」という方は、一度専門家に相談してみるのも良い選択です。贈与は正しく行えば、家族にとって有効な資産移転の手段になります。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー