都内で一人暮らしを始めた大学生の息子。家賃が10万円するので生活費を入れて「月15万円」ほど渡したいのですが、贈与税はかかりますか?

配信日: 2025.06.13

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都内で一人暮らしを始めた大学生の息子。家賃が10万円するので生活費を入れて「月15万円」ほど渡したいのですが、贈与税はかかりますか?
子どもが大学生になり一人暮らしを始めると、考えなければならないことの一つに「仕送り」の金額があります。特に都内は家賃が高騰していますので、仕送りの額も多くなってしまうでしょう。そうなると気になるのが、「仕送りって贈与になるの?」ということです。本記事で、FPである筆者が解説します。
田久保誠

田久保誠行政書士事務所代表

特定行政書士、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士相談センターの相談員として、相続等の相談業務や会社設立、許認可申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

自宅外通学者・仕送りの現状について

日本政策金融公庫の「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」によると、自宅外通学者がいる世帯の割合は28.1%となっており、都道府県別1世帯あたりの自宅外通学者数の全国平均は0.33人で、地方で多く都市部ほど少ない結果になっています。
 
また、自宅外通学を始めるための費用(アパートの敷金や家財道具の購入費等)は入学者1人あたり平均38万7000円となっています。
 
そして、自宅外通学者が1人いる世帯の仕送り額は年平均95万8000円(7万9000円/月)となっています。金額の分布は、図表1のようになります。
 
図表1
図表1
(日本政策金融公庫の「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」を参考に筆者作成)
 
これは令和2年度と比較して5万5000円増えており、仕送りゼロの割合は0.6ポイント減っています。ただし、この額は国公立、私立・文系、理系・全国をすべて含めての額です。
 

大学生への仕送りは贈与になる?

大学生の子への仕送りに関して「通常必要と認められるもの」については、贈与税の課税対象になりません。根拠は、下記相続税法の条文によります。
 

<相続税法第二十一条の三>

次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
二 扶養義務者相互間において生活費または教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの
 
今回は、仕送りされるものを生活費や授業料に使うのであれば課税対象にはなりません。また、通常必要と認められるものには、施設費、定期券代等の費用が挙げられます。
 

贈与税がかかる可能性がある費用とは?

一般的に大学4年間の学費は、国公立で約250万円、私立文系で約400万円、私立理系で約550万円かかります。また自宅外通学の場合は、それに住居費を含む生活費が別途かかってきます。
 
親御さんの場合はあまりないケースかもしれませんが、祖父母の場合、4年分まとめて一括で渡してしまったら、その場合は暦年課税されてしまえば、基礎控除の110万円を超えた部分については贈与税がかかります。
また、同様に4年分の学費を最初の年に贈与する旨の契約を結ぶ暦年贈与は、「定期贈与」にあたる場合があるので注意する必要があります。
 
「定期贈与」とは、定期的に一定額の贈与をする契約を結ぶことで、今回の場合、大学1年生から4年生までの4年間に100万円ずつ贈与するといった場合です。そうなると今回のケースでは、合計400万円の定期金に関する権利を贈与したとみなされて、税金が課されてしまいます。
 

「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」とは

大学のように多額の授業料等がかかる場合には、暦年課税ではなく、30歳未満の方が直系尊属(祖父母など)から金融機関等との一定の契約に基づき、教育資金に充てるため贈与を受けた場合、金融機 関等の営業所を経由して教育資金非課税申告書を提出し、1500万円までの金額に相当する部分の価額については、贈与税が非課税となる「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」という制度もあります。
 
この制度には、以下の4つの注意点があります。

1. 専用口座の開設と領収書提出が必須
2. 受贈者が30歳を過ぎると残資金に贈与税がかかる
3. 贈与者が死亡した場合、相続税が適用となる
4. 適用金額は受贈者1人あたりで決まる

 

仕送りが厳しい場合は祖父母に協力してもらう方法も選択肢の一つ

大学の授業料等は年々値上がりして、親御さんだけの収入で厳しい場合もあるかと思います。そのようなときは、祖父母に援助してもらうのも方法の一つとして有効です。ただし、その場合は贈与税がかからないように上記の点に注意して行うようにしましょう。
 

出典

日本政策金融公庫 令和3年度 教育費負担の実態調査結果
デジタル庁 e-GOV 法令検索 相続税法
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について
 
執筆者 : 田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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