「土地の相続税対策」として「賃貸物件」を建てると評価額を「1000万円」以上下げられる可能性も?! 賃貸物件があると節税になる理由を解説。
配信日: 2025.06.12

ただし、デメリットもあるので内容を理解したうえで判断しましょう。今回は、賃貸物件があると節税になる理由や、いくらくらい節税できるかなどについてご紹介します。

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賃貸物件があると節税になる理由
土地を相続した際、賃貸物件があるとその土地や建物は本人が自由に使えないものとして、評価額が低くなる可能性があります。賃貸物件のある土地を「貸家建付地」(かしやたてつけち)と呼びます。
国税庁によると、貸家建付地の価額は以下の式で計算が可能です。
貸家建付地の価額=自用地としての価額-自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合
自用地とは、自分で利用するために持っている土地のことです。借地権割合や借家権割合は国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。なお賃貸割合は、賃貸に使用している床面積の割合のことです。
計算式で自用地から差し引いて求めていることから、賃貸にすることで自用地にするよりも安くなることが分かるでしょう。
評価額はいくらくらい安くなる?
今回は、5000万円の評価額の土地に賃貸物件を建てて相続したとして、土地の評価額がいくら安くなるかを計算しましょう。条件は以下の通りです。
●土地の価格5000万円
●借地権割合70%
●借家権割合30%
●賃貸割合100%
条件を計算式に当てはめると「5000万円-5000万円×70%×30%×100%」となり、土地の評価額は3950万円です。自用地としての評価額より1050万円安くなりました。
評価額が低いと、それだけ相続税や固定資産税額も安くなります。そのため、賃貸物件を建てることは節税になるといえるでしょう。
住宅も節税になる可能性がある
住宅も、土地と同様にアパートなどの賃貸にすることで節税できる可能性があります。国税庁によると、賃貸物件の評価額は「家屋の固定資産税評価額-家屋の固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合」で求められるためです。
例えば、住宅の評価額が3000万円、借家権割合が30%、賃貸割合が100%だとしましょう。このとき、住宅の評価額は「3000万円-3000万円×30%×100%」となり、住宅の評価額は2100万円です。賃貸でないときよりも、900万円評価額が安くなります。
賃貸物件で相続税対策をするメリットとデメリット
まず、先述したように、メリットとして相続税の節税効果を期待できます。さらに、賃貸なので家賃収入が定期的に入り、生活に余裕が出る可能性もあるでしょう。得た家賃収入は、老後の生活費にとっておいたり、子どもの教育費のために使用したりと自由な使い方ができます。
一方で、デメリットとして賃貸物件の維持費が発生します。空室が多くなれば評価額の計算で用いる「賃貸割合」が低くなってしまうため、大幅な節税にならない場合もあるでしょう。
もし、税金対策で賃貸物件を建てようか悩んでいる場合は、こうしたデメリットもよく理解したうえで決断することが大切です。
条件によっては土地の評価額を1000万円以上下げられる可能性がある
土地を相続した際、自分のために利用している土地と賃貸のための土地では、賃貸のための土地の方が評価額は低くなりやすいでしょう。
ただし、節税できたり家賃収入を得られたりする可能性がある一方で、維持費がかかる、空室が多いと評価額が思うほど下がりにくいなどのデメリットもあります。メリットとデメリットを比較したうえで、どうするか決めるようにするとよいでしょう。
出典
国税庁 No.4614 貸家建付地の評価
国税庁 No.4602 土地家屋の評価
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー