【生前贈与】親子で“もめない”ための「ちょうどいい時期」と「賢い方法」を解説
配信日: 2025.06.11

本記事では、生前贈与を始める「ちょうどいい時期」と「賢い方法」を解説します。

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目次
生前贈与の実施率は「32.0パーセント」にとどまる
「生前贈与」は、財産を贈与する側が存命中に、家族や第三者に財産を渡すことです。
相続と同様に、自分の財産を他者に贈る際には贈与税がかかりますが、生前贈与には税金の負担を軽減できる制度が設けられているため、一定の条件を満たしていれば非課税で財産を譲渡できる場合もあります。
株式会社アシロ「『生前贈与』に関する調査結果」によると、「生前贈与」という言葉を「知っている」と回答した人の割合は86.0パーセントでした。比較的多くの人が認知していることが分かります。中でも、生前贈与の仕組みを「理解している」と回答した人の割合は51.0パーセントで、約半数の人が仕組みを理解していることが分かりました。
また、生前贈与を「実践したい」と回答した人の割合は77.0パーセントである一方、生前贈与を「実践している」と回答した人は32.0パーセントでした。高い認知度に対して実践している割合は少ないという結果となっています。
生前贈与を始める「ちょうどいい時期」とは?早く始めた方がお得?
生前贈与には、2つの方法があります。「暦年課税」と「相続時精算課税」です。
生前贈与を実施した際、年ごとに贈与税を納付する方法を「暦年課税」と呼びます。
また、生前に行った贈与に対し、その時点では贈与税を課さずに累計2500万円まで非課税とするのが「相続時精算課税制度」です。ただし、贈与者の死亡時にはそれまでの贈与分を相続財産に加えて相続税が計算されます。
暦年課税では、贈与税を年間110万円まで非課税にできるため、長い期間をかけて贈与を進めることで減税効果を最大化できます。つまり、なるべく早く始めた方がお得といえるでしょう。
なるべく贈与税がかからない生前贈与の「賢い方法」とは?
ここでは、なるべく贈与税の負担を抑えられる方法をご紹介しましょう。
1. 贈与の対象を広げる
贈与税は、相続人1人に高額を贈与すると税率が高くなり、負担額が大きくなる仕組みです。しかし、贈与税の基礎控除は受け取る人ごとに適用されます。そのため、多くの人に分散して贈与すると、贈与税の負担を大幅に軽減できます。
2. 価値が上がる可能性がある財産を早めに贈与する
生前贈与を実施して7年以内に亡くなった場合には、相続税が発生します。その財産の評価額は、贈与時点の金額が適用される仕組みです。そのため、贈与した後に財産の価値が上がっても相続税の負担額は上がりません。
3. 非課税枠を活用する
贈与税が年間110万円まで非課税になる「暦年課税」を活用する方法です。例えば毎年110万円を5年にわたり贈与すれば、合計550万円の財産を非課税で贈与することが可能です。ただし、税務署に「定期贈与である」と判断された場合は課税される恐れがあるため、個別に贈与の意思決定を毎年行うことが大切です。
「生前贈与」はいつ始めるのが正解?迷ったら“早めに準備”がおすすめ
財産相続については、親子間でのトラブルを避けるためにも、相続の意思を事前に共有できる「生前贈与」が有効な手段となります。中でも、暦年課税の制度を活用すると年間110万円までの贈与が非課税となり、長期的な対策として有効です。
また、早めに取り組むことで、非課税枠を生かした計画的な贈与が可能になります。制度の詳細や注意点については、専門家に相談しながら慎重に進めることをおすすめします。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
株式会社アシロ「『生前贈与』に関する調査結果」
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー