「生前贈与」として親から毎年「110万円」を受け取っています。10年続けた場合、いくらくらいの「節税効果」を得られるのでしょうか?

配信日: 2025.06.11

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「生前贈与」として親から毎年「110万円」を受け取っています。10年続けた場合、いくらくらいの「節税効果」を得られるのでしょうか?
個人からの贈与により、現金などの財産を取得したときは贈与税がかかるケースがあります。なかには、「生前贈与」で贈与税の基礎控除を利用し、贈与税や相続税の節税対策を行う方もいるのではないでしょうか。
 
この記事では、毎年10年間「生前贈与」を受けた場合、どの程度贈与税の「節税効果」が得られるのかを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年間110万円までの「暦年贈与」は贈与税がかからない

「暦年贈与(暦年課税)」とは、生前贈与の課税方法のひとつです。
 
国税庁によると、「暦年贈与」では「年間110万円以下」なら贈与税が発生しません。贈与された金額からこの基礎控除額「110万円」を差し引いた、残りの金額に対して贈与税がかかります。「110万円」以下で贈与税が発生しない場合、贈与税の申告は不要です。
 
なお、「生前贈与」の課税方法には、一定の要件を満たしたときに選択できる「相続時精算課税」もあります。
 

合計「1100万円」を「暦年贈与」された場合は「207万円」の「節税効果」が見込める

年間「110万円」までの贈与税は非課税となります。「生前贈与」として親から毎年「110万円」を受け取り、それを10年続けたケースでは贈与税の「節税効果」はどれくらいあるのかを確認しましょう。
 
国税庁によると、受贈者が成人している場合、直系尊属である親からの贈与は、「特例贈与」に該当します。贈与税を計算する際には、「特例税率」を使用しましょう。
 
まず、1100万円を一度に受け取った場合で、基礎控除額「110万円」を差し引いた後の課税価格を求めます。
 
・基礎控除後の課税価格=贈与された財産額-110万円(基礎控除額)
1100万円-110万円=990万円

 
次に、「特例税率」を使って贈与税額を計算します。国税庁によると、基礎控除後の課税価格が1000万円以下だと税率は30%、控除額は90万円です。
 
・990万円(基礎控除後の課税価格)×0.3(税率30%)-90万円(控除額)=207万円
 
上記のとおり1100万円を一度に受け取った場合の贈与税額は「207万円」です。毎年「110万円」を親から10年間「暦年贈与」された場合、理論上「207万円」分の節税効果が期待できます。
 

「暦年贈与」で押さえておきたい4つの注意点

「暦年贈与」を受ける際は、以下のポイントに注意しましょう。
 

1.「相続時精算課税」を選ぶと、その選択にかかる贈与者からの贈与では「暦年課税」に変更できない

「生前贈与」の課税方法は、「暦年課税」か「相続時精算課税」のどちらかを選択します。
 

2.相続開始前7年以内の暦年贈与は相続税の課税価格に加算する

「暦年贈与」によって、相続開始前7年以内に被相続人から財産を取得すると、その取得した財産の贈与時の価額が相続税の課税対象として加算されます。ただし、相続開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、その合計額から100万円が控除されます。
 

3.名義預金は贈与とは認められない可能性がある

贈与するお金が振り込まれた口座の存在を、贈与を受ける人が知らない場合などは名義預金と見なされ、振り込んだ人が亡くなった場合は相続税の課税対象となる可能性があります。
 

4.定期贈与は贈与税の課税対象となる

定期贈与とは、一定の期間で一定の金額を贈与することが決められている贈与です。
 
例えば今回のケースにおいて「暦年贈与」している財産が定期贈与と見なされた場合、合計1100万円を10年間にわたって贈与を受けることが贈与者との間で契約(約束)されていると判断され、契約(約束)をした年に、1100万円の贈与を受けたものとして贈与税が発生します。
 
「暦年贈与」を行う際は毎年「贈与契約書」を作成するなど予防策をとっておくとよいでしょう。
 

まとめ

「生前贈与」には「暦年課税」という課税方法があり、年間「110万円」の基礎控除を利用できます。「暦年贈与」を選択して生前から贈与を受けていれば、贈与税だけでなく、将来的な相続税の節税にもつながるでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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