夫が亡くなり「死亡退職金」を受け取りました。「みなし相続財産」にも「相続税」がかかるのでしょうか?

配信日: 2025.06.11

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夫が亡くなり「死亡退職金」を受け取りました。「みなし相続財産」にも「相続税」がかかるのでしょうか?
いわゆる「遺産」のうち、「死亡退職金」は「みなし相続財産」のひとつであり、字面からは必ず相続税がかかるように思えますが、実際のところはどのような扱いになるのでしょうか。
 
本記事では相続税の対象となる相続財産の種類や、「みなし相続財産」について覚えておきたいポイントを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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「みなし相続財産」は相続税の対象

相続税の対象となる「遺産」には、亡くなった人(被相続人)の所有する「現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべて」が含まれます。これらは国税庁の公式サイトにおいて「本来の相続財産」と呼ばれているものです。
 
対して表題の「死亡退職金」「死亡保険金」のように、被相続人が死亡したことが原因で発生する財産については「みなし相続財産」として分類され、こちらも「本来の相続財産」同様、原則として相続税の課税対象となります。
 

代表的な「みなし相続財産」

上述の死亡退職金・死亡保険金以外にも「みなし相続財産」として相続税の課税対象となりうるものには、主に以下のようなものが挙げられます。
 

・定期金の権利

「個人年金」など定期的に支払われる金銭で、被相続人が掛金を支払っていた場合に、受取先に指定されている方に相続税が課税されます。「国民年金」「厚生年金」に関しては対象外です。
 

・生命保険に関する権利

被相続人が保険料を払い込み、相続人が受け取る「解約返戻金・満期保険金」などが対象です。保険料を被相続人以外が払っていた場合は、相続税ではなく贈与税または所得税の対象となります。
 

・債務免除

遺言の効力などにより被相続人の負っていた債務が「対価を支払わずに」免除となった場合、相続人は「債務免除分の金銭を遺贈された」ものとみなされ、課税対象となります。
 
その他、企業などから支払われる「弔慰金」も一定額を超えると課税対象となる可能性があるなど、適用により思いもよらぬ形で相続税が生じるケースが存在するため、注意が必要です。
 

「みなし相続財産」の3つのポイント

このように一見紛らわしい「みなし相続財産」ですが、「本来の相続財産」と扱いが異なるポイントを押さえておくことでトラブルを回避しやすくなるでしょう。覚えておきたいポイントは以下の3点です。
 

・遺産分割の対象にはならない

相続税の対象となることから勘違いされがちですが、「みなし相続財産」は「本来の相続財産」ではないため、基本的に遺産分割の対象にはなりません。受益権や保険金などは、被相続人によってあらかじめ「受取先が指定されている」ためです。
 

・相続放棄しても受け取れる

相続放棄を申述すると一見、みなし相続財産も相続できなくなるように思えます。ですが「みなし相続財産」は遺産分割と同様、相続放棄からも対象外であり、相続放棄したとしても問題なく受け取ることが可能です。
 

・一部のみなし相続財産は一定額まで非課税

国税庁によると、みなし相続財産のうち「死亡退職金・死亡保険金」については、合計で「法定相続人の数×500万円」までの金額が非課税となります。非課税限度枠を超えない程度の掛金の生命保険に加入しておくことで、任意の相続人への相続税対策として利用できるため、検討してみてもよいかもしれません。
 

まとめ

死亡退職金は「みなし相続財産」に含まれるため、原則として相続税の課税対象です。ただし「法定相続人の数×500万円」までは非課税となるため、相続人の人数によっては課税されない可能性があります。さらに「本来の相続財産」ではないため、遺産分割の対象外となることも覚えておいた方がよいでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4105 相続税がかかる財産
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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