兄と私は祖父から教育資金の非課税制度で「300万円」もらいました。兄は大学卒業時に一部贈与税がかかったそうなのですが、「非課税」ではないの?
配信日: 2025.06.10

今回は、教育資金の非課税制度を利用しても課税されるケースや、課税されないポイントなどについてご紹介します。

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教育資金の非課税制度を利用していても課税されるケースとは
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度(以下、本制度)とは、受贈者が30歳未満で、教育資金目的での制度を利用した祖父母や両親などからの贈与であれば、最大1500万円までまとめて受け取っても非課税になる制度です。つまり、教育資金のために使わなければ、本制度を利用した贈与とはみなされないでしょう。
例えば、受け取ったお金のうち150万円を兄自身の交際費や貯金に使用したとしましょう。この場合、150万円から贈与税の基礎控除(110万円)を引いた40万円に対して課税されます。交際費や貯金は、教育資金ではないためです。
国税庁によれば、40万円の場合、税率は10%なので4万円の税金が課されます。税金を支払うのは受け取った側のため、金銭状況によっては卒業したばかりの兄の生活に影響が出る可能性もあるでしょう。
課税されないためのポイント
課税されないためには、本制度を利用して受け取ったお金は必ず教育資金関係のために使うようにし、領収書などの証明を保管しておきましょう。
本制度では、定期的に使用した金額を証明するために、領収書などを金融機関等の営業所などに提出します。領収書を保管していないと、たとえ本当に教育資金のためにお金を使っていたとしても証明できず、課税される可能性があります。
また、教育資金と判断される項目を、使用する前に調べて理解しておくことも大切です。国税庁によると、以下の項目は非課税になる項目として認められています。
・入学金や授業料など学校で学ぶに当たって直接必要な費用
・修学旅行費や学校給食費など、学校における教育に伴って必要な費用
・塾や水泳、ピアノなど、スポーツや文化芸術、教養を向上させるために支払う費用
・留学や通学定期などの交通費
また、贈与されたお金を目的問わず使用したいときは、1年間で受け取る金額を110万円以内にすることをおすすめします。基礎控除額内におさまるので、教育資金以外で使用しても課税されません。
ただし、基礎控除が適用されるのは1年間で受け取ったお金の合計です。仮に祖父以外からもお金を受け取っているときは、祖父からのお金が基礎控除額内でも課税対象となるケースがあるので、注意しましょう。
制度を利用するときの注意点
まず、本制度は令和8年3月31日までです。もし期限を過ぎてからまとまったお金を受け取ると、課税対象となる可能性があります。したがって、兄は期限内で本制度を利用してお金を受け取り、弟が期限を過ぎてから同じ金額を受け取っていた場合、兄は課税されずに弟だけ課税される場合もあるでしょう。
また、本制度の利用は事前に金融機関等で契約が必要です。契約をする前にまとめてお金を送ると、その金額分は通常の贈与として扱われます。祖父が契約せずにお金を送ろうとしている場合は、本制度を利用するか、基礎控除額内におさえるように伝えた方がよいでしょう。
教育資金以外に使用すると課税対象となる可能性がある
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度は、30歳未満の方が受け取る祖父母や両親からの贈与であれば、最大1500万円まで非課税でまとめて受け取れる制度です。ただし、非課税となるのは教育資金のために使用したお金に限られます。
もし、兄が教育資金以外にお金を使用していた場合、その金額分は課税対象となるでしょう。課税されないためには、お金の使用用途を教育資金に限る必要があります。また、本制度を使わないのであれば、基礎控除額内におさえることをおすすめします。
なお、本制度には期限が設けられており、現状では令和8年3月31日を過ぎると利用できません。本制度を利用したいときには、期限が過ぎていないかよく確認しておきましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー