祖母から孫へ、教育資金の贈与として「200万円」の送金がありました。今月の住宅ローンの支払いが厳しいので、その費用に充てても問題ないでしょうか…?

配信日: 2025.06.09

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祖母から孫へ、教育資金の贈与として「200万円」の送金がありました。今月の住宅ローンの支払いが厳しいので、その費用に充てても問題ないでしょうか…?
「祖母から教育資金にとお金を受け取ったけれど、今月はローンの支払いが厳しく、教育費以外の用途でお金を使用したい」このような悩みを抱えている方もいるでしょう。
 
本記事では「教育資金の贈与」や税制優遇制度、そして受け取った教育資金を教育費以外に使用するリスクと対処法について分かりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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教育資金の贈与って何?

教育資金は、比較的準備しやすい資金とされているものの、お子さんの進路によって必要となるお金は大きく異なります。例えば、幼稚園から大学まで私立に通わせる場合は、公立の学校に進学するよりもはるかに多くの費用が必要です。
 
もともと公立の学校に進学を希望していたとしても、中学校や高校から急きょ私立に通うことになるお子さんも少なくありません。私立に通うとなると、想定していた資金をはるかに上回ってしまうケースもあるはずです。このような場合、祖父母から教育資金を援助してもらう家庭もあるでしょう。これを「教育資金の贈与」といいます。
 
教育資金の贈与とは、祖父母や親などの直系尊属が、30歳未満の子や孫の教育費用として資金を贈与することです。教育資金の贈与を受けた際は贈与税がかかるケースもありますが、教育資金贈与の非課税措置によって非課税で受け取れることもあります。
 

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置とは

「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」とは、曾祖父母や祖父母、父母などの直系尊属である贈与者が、30歳未満の子や孫に対して教育資金としてお金をまとめて贈与する場合、一定の条件を満たせば最大1500万円まで贈与税がかからないという特例制度です。
 
非課税措置の特例を受けるためには、金融機関と「教育資金管理契約」を締結し、受贈者一人につき教育資金贈与(非課税口)専用の口座を開設する必要があります。
 
相続したお金の使い道は学校の授業料や入学金、交通費、学級費、修学旅行参加費、塾や習い事の費用などに限定されるのが特徴です。ただし、教育上通常必要と認められるものが対象であるため、義務教育にかかる費用には限定されません。
 
教育資金としてお金を使った場合、支払年月日から1年以内、もしくは支払年月日の翌年3月15日までに、金融機関に領収書を銀行に提出する必要があります。また、資金を使い切る前に贈与を受けた対象者が30歳に到達したり贈与者が亡くなったりした場合は、贈与税の課税対象になるため注意が必要です。
 

自由に使える贈与と、使途が限定される贈与の違い

贈与には大きく分けて使途が限定されていない「一般贈与」と、使途が限定されている「特定贈与」があります。
 
一般贈与の場合は、贈与者と受贈者の間で特別な契約を結ばない限り、受贈者は贈与された資金を自由に使用できるのが特徴です。ただし、年間110万円を超える贈与には贈与税が課されます。
 
一方、教育資金の一括贈与の特例を利用した場合は、資金の使途が教育目的に限定され、金融機関を通じて管理されます。教育資金の非課税制度を利用する契約をした場合、途中で解約ができません。
 
また、教育資金以外の用途で使った場合は、贈与税の対象となるため注意しなければなりません。途中で他の用途に転用できないので、一部引き出せない点も覚えておきましょう。
 

住宅ローンに使ってしまった場合のリスクは?

教育資金の一括贈与の制度を利用して贈与を受けた場合に、そのお金を住宅ローンの支払いに充ててしまった場合は、非課税措置が取り消され、贈与税の追徴課税の対象になる恐れがあります。また、延滞税や加算税などのペナルティーが課されるケースもあるため注意しましょう。
 

教育資金の贈与は使い方に気をつけましょう

教育資金の贈与を受ける際は、教育資金の一括贈与の制度を利用することで税負担を軽くできます。しかし、教育資金以外の目的に流用してしまうと贈与税が課税されるリスクがあることは理解しておく必要があります。
 
教育資金の一括贈与の制度を利用すべきか迷っている方は、金融機関やファイナンシャルプランナー、弁護士などの専門家に相談しましょう。
 

出典

国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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