亡くなった父の「800万円」の預金残高が見つかりました。相続税の申告期限は過ぎたし、手続きは不要ですか?

配信日: 2025.06.07

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亡くなった父の「800万円」の預金残高が見つかりました。相続税の申告期限は過ぎたし、手続きは不要ですか?
相続手続きや相続税の申告が終わったあとに、新たに相続財産が見つかる場合があります。あとから見つかったときは、必要に応じて相続税の申告のし直しが必要です。
 
ただし、状況によっては申告漏れとして扱われる可能性があります。今回は、相続税の申告手続きの期限やあとから遺産が出てきたときの申告、申告漏れなどについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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相続手続きの期限や手続きの方法

国税庁によると、相続税の申告や納税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があるとしています。亡くなったことを知った日は、通常、被相続人の死亡日です。
 
例えば、令和7年2月4日に亡くなった、もしくはそのことを知った場合、令和7年12月4日が申告期限となります。
 
ただし、申告期限日が土曜、日曜、祝日にあたる場合はその翌日が期限です。納税の期限も申告期限と同様のため、申告をしたにもかかわらず納税を忘れていた、という事態にならないように注意しましょう。
 
また、申告場所は被相続人の住所がある地区を管理している税務署です。相続する方の住所ではないため、間違えないようにしましょう。例えば父親が亡くなり、子どもが相続する場合は、父親が住んでいた自治体を担当する税務署に申告書を提出します。
 
相続税の申告書は郵送や直接提出のほかに、e-Taxを利用したオンラインでの提出も可能です。
 

あとから出てきた遺産も申告手続きが必要

相続税の申告後、納付期限を過ぎてから故人の新たな財産が見つかった場合、修正申告をする必要があります。修正申告とは、すでに申告した内容が間違っており、税額を少なく申告していたときに、納付期限後に行う申告です。
 
あとから財産が見つかって修正申告をする場合、もともと申告した金額では税額が足りません。そのため、必要に応じて追加で税金の支払いも行うことになります。
 
最初は非課税だった場合でも、あとから見つかった預金などの遺産を加算した結果、合計額が課税対象になれば申告が必要です。相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人数」とされています。
 
あとから見つかったお金を合計して最低でも3600万円を超えるときは、課税対象となる可能性が高いため、確認しておいてください。最初に子ども1人で4000万円を相続して申告をしたあと、800万円の預金が追加で見つかった場合について考えてみましょう。
 
最初の申告時点では、基礎控除額を引いた残りの400万円に対して課税され、国税庁によれば税率は10%で相続税額は40万円です。しかし、あとから800万円が見つかったことで、課税金額は1200万円に上がります。
 
この場合、税率は15%、控除額が50万円のため、相続税額は130万円です。ただし、税金のうち40万円はすでに支払っているため、差額の90万円を支払うことになります。
 

あとから修正すると申告漏れとして指摘される可能性がある

税金の申告は、期限を過ぎてから行うと税金の申告漏れとして判断され、本来の税金のほかに延滞税や加算税が課される可能性があります。
 
延滞税は、法定納期限から遅れた日数に応じて課される税金です。税金の利息としての側面を有しており、支払いが遅くなるほど税額も高くなります。
 
加算税は、税金の申告をしていなかったり過少申告をしていたりした場合に課される可能性がある税金です。申告をしていないときは無申告加算税、過少申告のときは過少申告加算税が課されます。
 
追加で税金を支払うことがないように、相続をしたときは、ほかに財産がないかよく確認することが大切です。
 

あとからでも手続きはできるが税額が増える可能性がある

相続手続きは、基本的に亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告しなければなりません。相続をしたときは、期限までに故人が住んでいた自治体の税務署へ申告書を提出しましょう。
 
期限を超えても手続きは可能ですが、金額によっては追加で相続税が課される可能性があります。また、申告漏れとして延滞税や加算税の課税対象になる場合もあるため、相続すべき財産を見落としていないか、よく確認しておきましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4205 相続税の申告と納税
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版)財産を相続したとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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