子どもの将来のために「子ども名義の口座」にお金を入れています。これって「贈与税」はかかるのでしょうか?

配信日: 2025.06.08

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子どもの将来のために「子ども名義の口座」にお金を入れています。これって「贈与税」はかかるのでしょうか?
子どもの将来のために「子ども名義の口座」にお金を入れているという方もいらっしゃることでしょう。このお金に対し、贈与税がかかる可能性があることをご存じでしょうか。「年間110万円までなら、子ども名義の口座にお金を入れても贈与税はかからない」と思われている方は注意が必要です。
 
本記事では「贈与税はいくらからかかるのか?」「子ども名義の口座に対し贈与税はかかるのか?」について解説します。「子どものためにお金を積み立てておきたい(残しておきたい)」という方は、ぜひ最後までお読みください。
中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

贈与税はいくらからかかるのか?

贈与税は贈与された財産に対して課される税金であり、納税義務者(税金を支払う方)は贈与を受けた方です(相続税法第21条・第28条・第33条)。「贈与」とは、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって効力が生じる「契約」です(民法第549条)。
 
贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」があります。暦年課税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間で受けた贈与財産に対し課税するというものです。
 
相続時精算課税は、贈与を受けた方が贈与した方(特定贈与者)の推定相続人であるなど所定の要件を満たした場合に、特定贈与者からの贈与財産については、相続発生時に相続税の課税対象として精算・課税するというものです。
 
本記事のように「贈与税はかかるのか?」について考えるときは、暦年課税で考えるのが一般的です。
 
暦年課税は、課税価格から基礎控除額110万円を差し引いた金額に税率を乗じて計算します(相続税法第21条の5・第21条の7、租税特別措置法第70条の2の4)。「1年間に受けた贈与の額が110万円以下なら、贈与税はかからない」という理論は、この計算方法に由来します。
 

子ども名義の口座に対し贈与税はかかるのか?

ここで問題となるのが、「贈与」のタイミングです。
 
本記事のタイトルのように「子どもの将来のために『子ども名義の口座』にお金を入れています」といった場合、一般に、ご本人(親)の認識としての贈与のタイミングは、「口座にお金を入れたとき」です。このため、「1年間の入金金額が110万円以下であれば贈与税はかからない」と思われがちになるのです。
 
しかし、「贈与」が「契約」であることを踏まえると、口座にお金を入れたときが贈与のタイミングであるというためには、親の側から「お金をあげる」という意思表示と、子の側から「お金をもらう」という意思表示が必要になります。単純に子ども名義の口座にお金を入れただけでは、贈与契約が成立したとは見なされません。
 
このような場合、贈与契約が成立すると見なされるのは、一般に、子どもに通帳・印鑑・キャッシュカードを渡したときです。
 
このときに初めて、子どもが口座に入れられたお金を認識し、管理ができるようになるからです。贈与税の課税対象となるのもこのときであり、預貯金残高が110万円以下であれば「贈与税はかからない」、110万円を超えていれば「贈与税はかかる」ということになります。
 

まとめ

本記事では「贈与税はいくらからかかるのか?」「子ども名義の口座に対し贈与税はかかるのか?」について解説しました。内容をまとめると、以下のようになります。
 

・贈与税は、暦年課税の場合、1年間の贈与財産の価額が110万円を超えたときにかかる
・子ども名義の口座に対し、贈与税はかかる場合もある

 
子ども名義の口座に対して贈与税がかかるのを回避するためには、以下のことに気を付けるとよいでしょう。
 

・名義だけでなく管理も子どもに任せ、口座に入れるお金を年間110万円以下にする
・子どもに通帳・印鑑・キャッシュカードを渡すときの口座残高を110万円以下にする

 
「子どものためにできることをしてあげたい」というのが親心です。本記事がその一助となれば幸いです。
 

出典

デジタル庁 e-GOV 法令検索 相続税法
デジタル庁 e-GOV 法令検索 民法
デジタル庁 e-GOV 法令検索 租税特別措置法
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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