88歳で夫が死亡。子どもがいないなら相続は「妻だけ」になる?7000万円の遺産があったケースで解説
配信日: 2025.06.07

しかし、子どもがいなくても、条件を満たしていれば配偶者のほかに、相続人となる人がいるかもしれません。トラブルを避けるためにも、相続人となる可能性のある人や相続割合などを知っておくことが大切です。
今回は、亡くなった人に子どもがいないケースにおける相続や割合、7000万円の遺産があった場合の相続税の計算例などについてご紹介します。

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目次
子どもがいないと相続はどうなる?
夫や妻が亡くなったとき、相続放棄をしなければ配偶者は常に相続人となります。
また、子どもがいない場合、ほかに相続人として該当する人がいなければ配偶者のみですが、優先順位に該当する人がいる場合は、その人と遺産を分けることになります。
国税庁によると、配偶者を除いた順位は以下の通りです。上位の人がいなければ次の順位の人が対象となる仕組みです。
・第1順位:亡くなった人の子ども
・第2順位:亡くなった人の両親や祖父母などの直系尊属
・第3順位:亡くなった人の兄弟姉妹
両親と祖父母がどちらもいるときは、両親が優先されます。また、亡くなった人の兄弟姉妹も亡くなっていたときに子どもがいると、兄弟姉妹の子どもが相続人になります。
なお、これらはあくまでも法律で定められている区分です。遺言書で遺産を渡す相手が指定されているときは、この限りではありません。
相続の割合はどう決まる? 7000万円の遺産があった場合どうなる?
法定相続分として定められている相続の割合は以下の通りです。
配偶者と子どもが相続人の場合
・配偶者:2分の1、子ども:2分の1
配偶者と両親または祖父母など直系尊属が相続人の場合
・配偶者:3分の2、直系尊属:3分の1
配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
・配偶者:4分の3、兄弟姉妹:4分の1
子ども、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ複数該当する場合は、原則として人数で均等に割って相続することになります。
例えば、亡くなった夫に兄弟が2人いたとすると、兄弟の相続割合は1人につき8分の1です。7000万円の遺産があった場合、夫の兄弟は875万円ずつ、妻は5250万円を受け取れるでしょう。
ただし、必ず法定相続分通りにする必要はなく、遺産分割協議をして納得のうえで財産を分ける場合は、異なる割合でも問題ありません。法定相続分は、遺産分割協議で各相続人が納得できなかった場合に決められている持ち分です。
複数人で相続するときの相続税の計算方法は
相続税の基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人数」です。相続税を求める際は課税対象となる財産から基礎控除額を引いてから、各相続人の税額を求めましょう。
国税庁によれば、基礎控除額を引いたあとの計算方法は以下の通りです。
(1)法定相続分通りに課税総額を各相続人に分け、それぞれの税額を求める
(2)(1)の税額を合計し、各相続人が実際に受け取った遺産の割合で分ける
(3)配偶者控除などの控除を適用する
今回は、以下の条件で税額を計算してみましょう。
・遺産総額は7000万円
・法定相続人は配偶者、夫の兄弟2人
・法定相続分通りの遺産を受け取る
・債務や葬式費用などは考慮しない
このケースでは、基礎控除額が4800万円となり、2200万円が課税対象になります。法定相続分通りに分けると配偶者は1650万円で税率が15%、控除額は50万円のため税額は197万5000円です。
兄弟は275万円ずつが課税金額となり、税率は10%、税額は27万5000円ずつとなります。相続税の合計額は252万5000円で、受け取った金額の割合で分割すると配偶者は189万3750円、兄弟は31万5625円ずつの負担です。
ただし、妻や夫には配偶者控除が存在し、法定相続分相当額までか1億6000万円までは非課税となるため、今回のケースの場合、配偶者に税金負担はありません。
夫に兄弟姉妹や両親がいるとその人も相続人となる
基本的に、相続放棄をしなければ配偶者は常に相続人です。そのほかの親族は、相続の順位にしたがって相続人となる可能性があります。子どもがいなくても、夫に両親や兄弟姉妹がいる場合は、配偶者とともに相続人になります。
相続人は配偶者以外いないと思い込んでいると、あとで相続トラブルとなる可能性があるため、注意が必要です。なお、複数人で相続する場合の相続割合は、法定相続分で分ける方法のみでなく、遺産分割協議で納得したうえで決める方法もあるため、覚えておくとよいでしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4132 相続人の範囲と法定相続分
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版)財産を相続したとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー