親から「3ナンバー車」を譲り受けることになりました。10年乗っている車ですが「贈与税」は気にしなくていいのでしょうか?
配信日: 2025.06.08

ただし、贈与税では年間で110万円の基礎控除額が認められるため、1年間に贈与された財産の合計が110万円以下であれば、贈与税は課税されません。本記事では、この原則を踏まえ、親から車を贈与された場合の贈与税について確認していきます。

ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
贈与税が課税されるケース
国税庁ホームページのタックスアンサー(よくある税の質問)などを参照すると、贈与税の税率(速算表)が掲載されています。
贈与税の暦年課税(1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額を基に計算)は、財産の合計額から基礎控除額110万円を控除した課税価格を速算表にあてはめ、税率を掛けて計算されます。
今回の事例では、贈与者が直系尊属(親)で、受贈者が子(車なのでおそらく18歳以上)なので、「特例税率」を適用することができます。
例えば、贈与を受けた時点で車の評価額が500万円、1年間にその他の贈与財産がない場合の贈与税額は、(500万円-110万円)×15%-10万円=48万5000円となります。
贈与における車の評価方法
取得した車に贈与税が課税されるか否かを判断する重要なポイントは、車の評価額です。贈与財産は、現預金、不動産、有価証券など、金銭に換算できる経済価値のある財産であり、それぞれにその評価方法があります。
車は、一般動産のひとつとして、以下のような評価方法により評価額が算定されます。
(1)中古車市場の業者による買い取り価格相場
中古車市場の業者による販売価格相場ではなく、買い取り価格相場により評価します。評価に必要となる情報は、≪年式、メーカー、車種・グレード、走行距離、色≫となります。
これらを基に、中古車買い取り業者のサイトで買い取り価格相場を検索することができます。ただし、キズや不具合などの個別的な状況によって減額されることも想定されます。
(2)売却価格や査定額による評価
ディーラーや中古車買い取り業者の売却査定を基に、査定書の金額で評価する方法です。
車の贈与に関して覚えてきたいこと
その他にも、贈与を受けた際に覚えておきたいことがあります。
(1)親(扶養義務者)からの贈与で、通常の生活に必要と認められる場合は課税されない
親などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために子が取得した財産で、通勤、通学などで車が通常必要と認められる場合には、贈与税は課税されない場合があります。
ただし、贈与税が課税されない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られ、それを預金や株式や不動産などの購入資金に充てた場合には課税されます。また、高級車など、あまりにも高価な場合にも課税されることがあります。
(2)車の所有者が親名義で、使用者が子の場合は課税されない
親の名義の車を子が使用していることは贈与とはみなされず、贈与税は課税されません。
車を子が取得し、所有名義が子になると贈与税が課税されます。その際に親が車の購入資金を負担した場合や、ローンを支払う場合にも、その金額に贈与税が課税されます。
(3)親子間で車を著しく安価で譲渡する場合にも課税される
時価に比べて著しく安い価格で譲り受けた場合(低廉譲渡)、みなし贈与財産として時価との差額に贈与税が課税される場合があります。例えば、時価500万の車を10万円で子に譲渡したときは、500万円-10万円=490万円が贈与財産とみなされます。
まとめ
贈与財産の評価は、原則として時価(贈与された時点の価額)で評価されます。車の場合、通常は経過年数に応じて評価額が低下していく傾向があります。
要するに、時価が110万円以下となるタイミングであれば、基本的には贈与税は課税されません。よって、中古車市場における買い取り価格相場や査定額を参考として、贈与のタイミングを計ることも重要となるものと思われます。
出典
国税庁 タックスアンサー No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 タックスアンサー No.4423 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー