75歳の父が「銀行口座の暗証番号を忘れた」と言っています。相続時や本人確認でトラブルにならないでしょうか?

配信日: 2025.06.07

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75歳の父が「銀行口座の暗証番号を忘れた」と言っています。相続時や本人確認でトラブルにならないでしょうか?
高齢の親から「自分の銀行口座の暗証番号を忘れた」と聞いて、今後トラブルが発生しないか不安な人もいるでしょう。結論としては、暗証番号を忘れても変更できるうえ、暗証番号がなくても問題なく相続手続きを行えます。
 
本記事では、銀行口座の暗証番号を忘れた場合の対処法について解説します。また、親の認知症が疑われた際にトラブルを避ける方法も紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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親が銀行口座の暗証番号を忘れた場合

親が自分名義の銀行口座の暗証番号を忘れたとしても、対処法はあります。また、暗証番号が分からないままでも、相続をすることは可能です。そこで、本項では暗証番号が分からなくなった際の変更方法を紹介します。
 

暗証番号を変更する

銀行口座の暗証番号を忘れてしまっても、変更できます。取引店舗の窓口に出向き、手続きをしましょう。手続きに必要なものは、以下のとおりです。


・キャッシュカード
・通帳
・届け印
・本人確認書類

銀行によっては、上記のほかに追加書類が必要な場合もあります。詳細は各銀行で確認してください。なお、暗証番号の変更は、原則として名義人本人のみです。代理人による手続きはできない点に注意しましょう。
 

暗証番号が分からなくても相続可能

暗証番号が分からないままでも、相続は可能です。まず、名義人が死亡したことを銀行に伝え、口座を凍結してもらいましょう。名義人の取引内容が分かる通帳やキャッシュカードを用意し、銀行のホームページや専用ダイヤル等から連絡してください。
 
その後、相続の手続きをします。相続手続き案内の書類が自宅に届くため、確認書類を郵送しましょう。この手続きにおいて、暗証番号は必要ありません。
 

親が銀行口座を管理できない場合に考えられるトラブル

暗証番号を忘れることが頻繁に起きた場合など、親が銀行口座の管理ができないケースもあるでしょう。その際、正しい手順で銀行口座の管理をしないと、さまざまなトラブルに見舞われるかもしれません。
 
本章では、親が銀行口座を管理できなくなった場合に起こり得るトラブルについて解説します。事前に把握しておくことで、いざというときにスムーズに口座管理ができるでしょう。
 

勝手にお金を引き出してはいけない

親の口座からお金を引き出すなどの行為は、親の許可を得ている場合は違法にはならないとされています。しかし、前述のとおり銀行のルールとして、取引できるのは口座名義人のみと定められており、家族であっても代理での引き出しは原則禁止されています。
 
また、親の金を勝手に使っているなどと、兄弟間でトラブルになることもあるでしょう。のちに相続放棄ができないなどのトラブルも起こり得ます。したがって、銀行口座の管理ができなくなったからといって、親の代わりに勝手に取引してはいけません。
 

認知症と判断されると口座が凍結する可能性

親の口座から子が頻繁にお金をおろしているが銀行に知られると、通常とは異なる取引として確認されることがあります。その際、銀行は本人の判断能力が低下している可能性や、財産が不正に使われていないかを慎重に確認します。
 
もし判断能力の低下が疑われた場合、トラブルや悪用防止のために口座が凍結されることがあります。「代理カードを持っているから大丈夫」と考える人もいますが、代理カードでは認知症による凍結を防げません。
 
しかし、認知症と判断されて口座凍結してしまっても、銀行口座のお金をおろせる制度があります。認知症で銀行口座が凍結した場合、利用できる制度は以下のとおりです。


・任意後見制度
・家族信託(資産継承信託)
・法定後見制度

任意後見制度と家族信託は、まだ認知症となっていない時点で家族に金品の管理等を任せるための契約です。早い段階で制度を利用してください。認知症に罹患したあとは、法定後見制度を利用しましょう。法定後見制度では、家庭裁判所の審判によって判断能力に応じて後見人が選任されます。
 

親と銀行口座の管理について話し合おう

銀行の暗証番号を忘れたとしても、銀行の窓口で変更することで引き続き口座を利用できます。暗証番号の変更は、名義人本人のみができます。また、暗証番号が分からないままでも、相続手続きは可能です。
 
親が銀行口座の管理ができなくなったからといって、子が勝手にお金を引き出すとトラブルにつながります。また、死亡のみならず親の認知症が疑われた場合も、銀行口座が凍結する恐れがあります。利用できる制度を知っておき、備えておくとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 成年後見はやわかり 任意後見制度とは(手続の流れ、費用)
一般社団法人家族信託普及協会 家族信託とは?
厚生労働省 成年後見はやわかり 法定後見制度とは(手続の流れ、費用)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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