結婚式を挙げるのに親から「200万円」の援助をもらいました。この場合「贈与税」の申告は必要になりますか?
配信日: 2025.06.07

本記事では、結婚資金の贈与を110万円の基礎控除を超える額で受けた場合の事例について確認していきます。

ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
贈与税が非課税となるもの
相続税または贈与税の取り扱いを定めた相続税法基本通達では、贈与税を課税しないものとして以下のように規定しています。
「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。」(相続税法基本通達第21条の3-9)
つまり、親からの結婚式を挙げるための200万円の援助が「祝物」(結婚祝い)などに該当し、「社交上の必要によるもの」で「社会通念上相当と認められるもの」であれば、基本的には贈与税は課税されないこととなります。また、結婚祝い以外の結婚資金(挙式費用や披露宴費用など)を親が支払ってくれた場合にも、原則、贈与税は課税されません。
ただし、その結婚資金を実費で支払ってもらうのではなく、銀行振り込みで受け取ってしまうと、贈与税の課税対象となる場合があるため注意が必要です。
あくまでも、結婚式を挙げるために支払ったお金であるとの事実が必要となります。さらに、援助された金額が数千万円などあまりにも高額な場合(社会通念上相当と認められない場合)には、課税対象となる可能性があることも覚えておきましょう。
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税
直系尊属(父母、祖父母など)から結婚や子育ての資金として贈与を受ける場合に、1000万円までを非課税とすることができる制度があります。
つまり、18歳以上50歳未満の子どもが、将来的に結婚や子育て等に使うためのまとまった資金を、あらかじめ子どもや孫に一括で贈与する際に贈与税を非課税とすることができる制度です。
また、当該非課税制度を適用する場合、税務署に対して贈与税の申告は必要ありませんが、金融機関等に対して「結婚・子育て資金口座の開設」や「結婚・子育て資金非課税申告書の提出」などの手続きが必要となります。
また、実際に資金を当該口座から払い出しする際には、領収書等の提出が必要です。なお、1000万円の非課税資金のうち、結婚資金の限度額は、以下の内容で300万円までとされています。
(1)挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の1年前以後に支払われるもの)
(2)家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間に支払われるもの)
ただし、子ども(受贈者)が50歳に達した場合や当該契約を終了させる合意がなされた場合に、残額があるときは贈与税の課税対象となることがあります。
まとめ
親が子どもの結婚の際に資金を援助したいと考えた場合、まずは1年間の贈与額が基礎控除の110万円以下の金額であれば贈与税は課税されません。
110万円を超える金額を支援したい場合は、結婚祝い(ご祝儀)として直接渡す、あるいは挙式費用などを親が直接支払うことで贈与税は課税されなくなります。銀行振り込みなど、他の目的にも自由に使用できる形式で受け取った場合には、課税対象となる可能性があるため注意しましょう。
せっかく結婚を祝福するために渡したお金に対して、結婚する当事者が不測の贈与税の負担を強いられることは避けたいものです。判断に迷うような場合には、あらかじめ税務署や税理士などの専門家に相談するようにしましょう。
出典
国税庁 法令解釈通達 第21条の2 《贈与税の課税価格》関係
国税庁 父母などから結婚 ・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー