両親が「相続対策」と言って、500万円の「タンス預金」をしていることが判明! これって脱税ですか? 税務調査でバレるのでしょうか?

配信日: 2025.06.06

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両親が「相続対策」と言って、500万円の「タンス預金」をしていることが判明! これって脱税ですか? 税務調査でバレるのでしょうか?
自分たちの相続時に少しでも多く子どもへお金を残そうと、両親が「タンス預金」をしていたというケースは少なくありません。しかし、それが500万円というまとまった金額である場合、これは脱税になってしまうのでしょうか。
 
本記事では、タンス預金のリスクについて紹介します。

タンス預金をするだけでは脱税にはならない

結論として、「タンス預金」をするだけでは脱税行為には当たりません。銀行口座などではなく、単に自宅で現金を保管しているだけだからです。
 
しかし「タンス預金」が「税金逃れ」に結びつきやすい点が問題です。
 
今回の両親は「相続対策」という目的で「タンス預金」をしていますが、両親の言う「相続対策」が「相続税を支払うのがイヤだから、長い間、タンスに現金を保管しておいた」「子どもが相続税を支払わなくていいようにタンスに資産を隠しておいた」という意味なのであれば、その行為は「脱税行為」に発展する危険性があります。
 

タンス預金による相続税逃れはNG

相続発生時に相続税の支払い義務が発生するだけの資産を持っている場合、被相続人(亡くなった人)の資産の合計額を計算し申告する必要があります。
 
この際、銀行預金などは比較的把握しやすい資産ですが、タンス預金は預金通帳に金額が載らず、現金を置いている場所を知らなければ把握しづらい資産ではあります。そのため「申告しなければバレない」資産と思い込み、相続する資産をその分少なく見せかけ、「タンス預金」で税金逃れをしようと考える人もいるのでしょう。
 
ただタンス預金をするのであれば問題はありませんが、このようにタンス預金で資産を隠し税金を支払わないといった行為は、もちろんしてはいけません。
 

タンス預金による相続税逃れは税務調査でバレる

税務調査は、相続税の申告のタイミングなどで行われます。相続税は高額となるケースが多く、申告漏れも生じやすいため、税務調査が入る可能性が比較的高いと言われています。
 
国税庁の「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」によると、国税庁が行った実地調査(税務調査)の件数「8556件」に対し「7200件」もの「申告漏れ等」が指摘されており、その割合は「84.2%」に達しています。
 
また税務調査の上、「悪質な隠ぺいなどがあった」と見なされた場合、重加算税として35%~50%が科される可能性があります。
 
せっかくこれまで大事に貯めてきたお金が「相続税逃れ」と見なされ、無用な課税をされないためにも、相続財産は正確に申告する必要があります。
 

タンス預金には他にもさまざまなリスクが

自宅で多額の現金を保管するのは、防犯上よくありませんし、災害時などにお金が失われてしまう危険性もあります。
 
また、一般的にタンス預金で相続対策していることは、意図的に知らせない限りは同居している家族にしか分かりません。そのため、事前に知らされていない他の相続人と遺産分割時のトラブルになる可能性もあります。無用なリスクやトラブルを避ける意味でも、「タンス預金」で相続対策をすることは避けた方がよいでしょう。
 

まとめ

「タンス預金」のリスクについて、相続時やその他のリスクもふくめて紹介しました。未申告の「タンス預金」が税務調査で見つかり「相続税逃れのための悪質な隠ぺい」と見なされた場合、重加算税が科されるリスクがあります。
 
また、防犯や災害時の備え、相続発生時の親族間トラブル回避といった観点からも、「タンス預金」での相続対策はしない方がよいでしょう。家で多額の現金を保管せず、銀行預金等にしておくことをおすすめします。
 

出典

国税庁 令和5事務年度における相続税の調査等の状況
国税庁 加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし
 
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

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