「外貨預金」をしていた祖父。死亡後の引き出しには特殊な手続きが必要になるのでしょうか?

配信日: 2025.06.03

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「外貨預金」をしていた祖父。死亡後の引き出しには特殊な手続きが必要になるのでしょうか?
「祖父が外貨預金をしていたけれど、相続手続きってどうすればいいの? 」
 
そんな不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
 
外貨預金は円預金と違い、通貨の種類や金融機関の対応によって、手続きが少し複雑になることがあります。この記事では、外貨預金の相続に必要な手続きや注意点を、初めての方にもわかりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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外貨預金も「相続財産」になる。まずは金融機関への連絡を

おじいさまが外貨預金をしていた場合、その預金は相続の対象になります。まず行うべきは、預け先の金融機関に死亡の事実を連絡することです。
 
金融機関は死亡の確認後、口座を凍結します。凍結された口座は、相続手続きが完了するまで原則として出金できません。これにより、不正な引き出しや相続トラブルを防げます。
 

相続手続きに必要な書類と流れ

外貨預金の相続手続きは、基本的に円預金と同様ですが、外貨建てという点で評価や受け取りに注意が必要です。以下が主な流れです。
 

1.必要書類をそろえる

手続きを進めるには、以下のような書類が求められます。

●被相続人の除籍謄本(死亡を証明)
●相続人全員の戸籍謄本
●相続人全員の印鑑証明書
●遺産分割協議書(全員の合意が必要)
●外貨預金口座の情報(通帳・証書など)

金融機関によっては、独自の相続手続き用紙への記入が必要な場合もあります。手続き前に窓口や公式サイトで確認しましょう。
 

2.続税の申告・納税

外貨預金も課税対象です。評価額は「相続開始日(死亡日)」の為替レートを使って日本円に換算します。例えば、米ドル預金であれば、TTB(電信買相場)レートを使います。
 
注意したいのは、為替相場によっては相続税評価と実際の受取額に差が出ること。場合によっては評価より受取額が下回ることもあります。相続税の申告期限は、死亡から10ヶ月以内。税理士への相談も検討しましょう。
 

3. 口座の解約と外貨の受け取り

手続きが整えば、外貨預金口座を解約し、資産を受け取れます。多くの金融機関では次の2通りの受け取り方が選べます。

●外貨のまま受け取る(外貨口座へ振替)
●円に換算して受け取る(為替手数料が発生)

為替手数料は金融機関ごとに異なるため、事前に比較しておくとよいでしょう。
 

注意したい3つのポイント

株式会社Agoora(アゴラ)が行った遺産像族アンケート調査によると、相続の手続きで大変だったことに対する回答で最も多かったのは手続きの多さ・複雑さ(74.34%)でした。
 
ほかにも、約3割の人が相続トラブルと回答しています。スムーズに相続するためにも家族間で事前に話しあうことが重要です。相続に関して注意した3つのポイントを以下にまとめました。
 

1.金融機関によって手続き内容が異なる

都市銀行とネット銀行では必要書類や方法に差があります。特にネット銀行は郵送でのやり取りになることが多く、時間がかかることもあります。
 

2.為替リスクに要注意

外貨で受け取る場合、将来的に為替が不利になる可能性もあります。相続税を払うために円換算が必要なこともあるため、計画的に判断しましょう。
 

3.複数の相続人で合意が取れないと進められない

相続トラブルは珍しくありません。分割協議がまとまらないと、相続手続きは一時停止します。専門家の介入が有効なケースもあります。
 

早めの準備と相談がスムーズな相続のカギ

おじいさまの外貨預金を相続するためには、通帳の確認から金融機関への連絡、書類準備、税務対応まで、さまざまなステップがあります。円預金よりも手間がかかる場合があるため、遺族の精神的・時間的な負担は少なくありません。
 
ただ、事前に準備や確認をしておけば、スムーズに進めることが可能です。必要に応じて、税理士や相続に詳しい専門家のサポートを受けることもおすすめします。「どこに何の預金があるかわからない」という状況を防ぐためにも、親族間で日頃から情報を共有しておくと安心です。
 

出典

株式会社Agoora(アゴラ) 遺産像族アンケート調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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