相続人の確定と相続分 改正により身近かになる相続の話

配信日: 2019.02.05 更新日: 2019.06.28

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相続人の確定と相続分 改正により身近かになる相続の話
前回の記事で、家族(被相続人)の死亡後における相続開始後3~10ヶ月までに必要な手続きを確認しました。
 
相続法の改正により利用しやすくなった自筆証書遺言書についても、改正内容と併せて解説しているので、ご一読いただければその重要性を理解していただけると思います。それを踏まえて今回は、「相続人の確定」について解説します。
 
内宮慶之

執筆者:内宮慶之(うちみや よしゆき)

内宮慶之FP事務所代表
CFP認定者(日本FP協会所属)、ファイナンシャルプランニング

CFP認定者(日本FP協会所属)、ファイナンシャルプランニング技能士1級
会計事務所では、税務会計コンサルティングの他、資産税や相続事業承継の経験も豊富。

現在、相続及びライフプラン全般における相談業務、講演、執筆、非常勤講師などの業務を中心に活動している。高等学校での講演も多く金融経済教育にも尽力している。

平成30年度日本FP協会『くらしとお金の相談室』相談員、大阪市立住まい情報センター専門家相談員、修学支援アドバイザー(大阪府教育委員会)にも就任している。

相続人の確定と相続分

相続人を確定するには、亡くなった家族(被相続人)の戸籍謄本(原戸籍)を取り寄せる必要があります。前の結婚でもうけた子供や、家族も知らない認知した子の存在などがないか確認するためです。
 

《法定相続分》

法定相続分とは、民法で定められた相続割合で、必ず法定相続分で遺産を分割しなければならないわけではありません。ただし、相続税額を求めるときや、相続人同士の話し合いで合意しない場合の、法律上の目安となります。
 

 
★被相続人の配偶者は、常に相続人になります。ただし、事実婚や内縁関係では相続人になれません。
 
(1)第一順位・・・直系卑属(子や孫など)
配偶者と子が相続人となります。配偶者がいなければ子だけが相続人となります。また、相続開始前に死亡した子がいる場合は、代わりにその子供(被相続人の孫)が相続人となります。この「代襲相続制度」は下の世代へと続きます。
 
養子も実子と区別なく相続人となります。ただし相続税の計算では、実子がいれば1人まで、いない場合は2人までです。
 
生前、または遺言書などで認知された子(非嫡出子)がいる場合、その子も相続人となります。相続分は正式な婚姻間の子(嫡出子)と同じです。これについては平成25年9月、最高裁によって「憲法の定める平等原則」と判断され、同年12月に民法の一部が改正されています。
 
非嫡出子と混同しやすいのが「半血兄弟姉妹」(父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹)の相続分です。半血兄弟姉妹の相続分について、全血兄弟姉妹の2分の1とする規定は改正されていません。
 
(2)第二順位・・・直系尊属(父や母など)
被相続人に子がいない場合、相続人は第二順位の直系尊属となります。被相続人の父母、父母がいない場合は祖父母と、上の世代にさかのぼります。
 
(3)第三順位・・・傍系の血族(兄弟姉妹・甥姪など)
第二順位の人もいない場合は、兄弟姉妹が相続人となります。相続開始前に死亡した兄弟姉妹がいれば、代わりにその子供(被相続人の甥・姪)が相続人となりますが、第三順位で相続人となるのは甥・姪までです。
 

《遺留分》

遺留分とは、民法で定められた相続人が最低限相続できる財産です。被相続人の意思が尊重されるため、遺言書の内容は優先されますが、理不尽な内容の遺言書だと残された家族が気の毒なため、認められています。遺留分が保証されている相続人は配偶者、子供、父母です。兄弟姉妹に遺留分はありません。
 
侵害された遺留分を確保するには、遺言書に従い財産を相続した人に「遺留分減殺請求」をする必要があります。さらに、「遺留分減殺請求」の権利は、相続開始および自分の遺留分が侵害されていることを知った日から1年、知らなくても相続開始から10年を過ぎると消滅します。
 
遺留分として請求できるのは、配偶者や子供が法定相続人にいる場合は相続財産の2分の1、法定相続人が親だけの場合は3分の1です。
 
※相続法改正【2019年7月1日施行】
(1)遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求ができるようになります。
(2)遺贈や贈与を受けた者が金銭をただちに準備できない場合には、裁判所に対し支払期限の猶予を求めることができます。
 

《排除》

排除とは、被相続人に対して虐待や重大な侮辱行為をしたり、顕著な非行がある場合、被相続人が家庭裁判所に申し立てをして、その相続権を剥奪することです。
 
ただし、兄弟姉妹は排除の対象にはなりません。これは、前出のように兄弟姉妹には遺留分がないので、相続させたくない場合には、その旨を遺言しておけば相続させないという目的が達成されるためです。
 

《相続欠格》

相続権があっても以下の欠格事由に該当する者は相続権がなくなります。
 
(1)故意に被相続人または相続の先順位もしくは同順位にある者を死亡させようとし刑に処せられた者。
(2)被相続人が殺害されたことを知って告発または告訴しなかった者。ただし、その者に是非の区別ができないとき、または殺害者が配偶者もしくは直系血族の場合は、この限りではない。
(3)詐欺または強迫によって、被相続人の遺言、その撤回、取り消し、変更を妨げた者。
(4)詐欺又は強迫によって、被相続人に遺言を強制した、あるいは遺言の撤回、取り消し、変更をさせた者。
(5)遺言書を偽造、変造、隠匿した者。
 

終わりに

相続を円滑に進めるには、さまざまなルールを踏まえ、必要な手続きなどをその期限までに行わなければなりません。今回は、相続開始後3ヶ月以内に相続人がすべきこととして、「相続人の確定」を取り上げました。
 
執筆者:内宮慶之(うちみや よしゆき)
内宮慶之FP事務所代表
CFP認定者(日本FP協会所属)、ファイナンシャルプランニング
 

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