更新日: 2020.04.07 遺言書

3ヶ月以内にしないといけない手続きとは?相続発生後の手続きと期限

3ヶ月以内にしないといけない手続きとは?相続発生後の手続きと期限
相続とは、亡くなった親族の財産およびそれに属する権利や義務を、一定の人が引き継ぐことです。亡くなった人を「被相続人」といい、被相続人の財産などを引き継ぐ一定の関係がある人を「相続人」といいます。
 
身内が亡くなると、近親者などに連絡したり、通夜・葬儀の手配に追われたりと、やるべきことがいっせいに押し寄せてきます。葬儀などが一段落しても、相続に関するさまざまな手続きにとりかからなければなりません。手続きには公的なものもあり、期限を失念してしまうと、思わぬ損失を被ってしまうことにもなりかねませんので、注意が必要です。
 
今回は、相続発生後の基本的な手続きを時系列に確認し、主に遺言書について詳しく解説したいと思います。
 
内宮慶之

執筆者:内宮慶之(うちみや よしゆき)

内宮慶之FP事務所代表
CFP認定者(日本FP協会所属)、ファイナンシャルプランニング

CFP認定者(日本FP協会所属)、ファイナンシャルプランニング技能士1級
会計事務所では、税務会計コンサルティングの他、資産税や相続事業承継の経験も豊富。

現在、相続及びライフプラン全般における相談業務、講演、執筆、非常勤講師などの業務を中心に活動している。高等学校での講演も多く金融経済教育にも尽力している。

平成30年度日本FP協会『くらしとお金の相談室』相談員、大阪市立住まい情報センター専門家相談員、修学支援アドバイザー(大阪府教育委員会)にも就任している。

被相続人死亡後(相続の開始)の手続き

家族が亡くなると、死亡後(相続の開始)7日以内に、その「被相続人」の死亡地や本籍地などを管轄する役所に死亡届を提出しなければなりません。
 
そのほか、年金の受給停止や健康保険の資格喪失届けなど、死亡の連絡をすべき手続きはたくさんあります。
 
《3ヶ月以内》
 
 

○遺言書の有無を確認する

⇒自筆の遺言書があれば、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
 
 

○相続人を調べて確定する

⇒相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(原戸籍)を取り寄せる必要があります。
 
 

○遺産(相続財産)を調べる

⇒負の財産(借金)や生前贈与の有無を含め、どのような財産がどれだけあるのか詳しく調べます。状況に応じて相続の放棄または限定承認などの手続きを行います。
 
《4ヶ月以内》
 
 

○被相続人の準確定申告

   ⇒死亡した年の1月1日~死亡日までの被相続人の所得税を申告・納税しなければなりません。
 
《10ヶ月以内》
 
 

○相続税の申告と納付

   ⇒相続税の申告が必要な場合は相続税評価額で課税遺産総額を求め、申告書を作成して申告納税する必要があります。

【遺言書について】

遺産を相続することが決まったら、相続人の間でどのように分けるかが問題になります。遺産の分け方には、遺言による分割と、相続人全員での協議による遺産分割協議の2つの方法があり、遺言書が存在する場合はその内容が優先されます。
 
相続人全員の同意がある場合については、遺産分割協議によって決めることもできます。
 
 《遺言書の種類》
 
遺言書には「自筆遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。一般的には、「自筆証書遺言」または「公正証書遺言」のどちらかが選択されます。
 

○自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者がその全文、日付、氏名を自筆し捺印する方式です。ワープロなどを使用すると無効となり、捺印は実印が望ましいとされています。
 
自筆証書遺言の場合は、発見したままの状態で、家庭裁判所で検認を受けなければなりません。検認とは、遺言書が被相続人によって作成されたものであることを確認し、その内容を認定するための手続きです。
 
これは偽造・変造などを防止するための手続きで、書かれた内容が適正かどうかを判断するものではありません。
 

○公正証書遺言

公正証書遺言とは、2人以上の公証人の立ち会いのもと、遺言者がその趣旨を口述し、公証人が作成します。
 
原本は公証人役場で保管されますので、問い合わせればその有無を確認することが可能です。また、作成の際、病気などで公証人役場に出向くことができないような場合には、公証人が出張してくれます。公正証書遺言には、家庭裁判所での検認は必要ありません。相続人が確認しその内容での分割を承認すれば、すぐに遺言内容に沿って遺産を分割することができます。
 

※遺言執行者

遺言執行者とは、遺言書に記載された内容を、確実に実現させる役割を任された人のことです。
 
遺言執行者が選任されていなくても遺産分割は可能ですが、分割手続きをスムーズかつ公平に行うためにも、遺言書において遺言執行者を指定することが一般的です。遺言執行者は相続人の中から選定する方法と、弁護士や司法書士などの専門家に依頼する方法があります。
 

※2018年相続法改正

自筆証書遺言については、今回の法改正により利用しやすくなります。以下、改正点です。
 

○自筆証書遺言に添付する財産目録については、手書きである必要がなくなりました。ワープロなどでの作成が可能となります。【2019年1月13日施行】

⇒これにより、刻々と変動する財産額の差し換えが簡単にできるようになります。
 

○法務局への自筆証書遺言書の保管申請が可能となります。【2020年7月10日施行】

⇒保管申請は、遺言者の住所地もしくは本籍地または遺言者が所有する不動産の所在地を所轄する遺言書保管所に対してすることができます。保管されている遺言書については、家庭裁判所の検認が不要となります。
 
執筆者:内宮慶之(うちみや よしゆき)
内宮慶之FP事務所代表CFP認定者(日本FP協会所属)、ファイナンシャルプランニング
 

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