更新日: 2019.07.03 贈与

両親からの財産をもらった際の税金が免除されるかもしれない【相続時精算課税制度】

両親からの財産をもらった際の税金が免除されるかもしれない【相続時精算課税制度】
両親や祖父母から財産をもらった(譲り受けた)とき、気になるのが税金(贈与税)かと思います。高額でなければ問題ありませんが、数百万~数千万単位の財産をもらったとなると、より一層税金が気になると思います。
 
こういったときに贈与税が免除(猶予)される「相続時精算課税制度」というものをご存知でしょうか。今回は、あまり知られていないがために利用者が少ない制度である「相続時精算課税制度」の概要とメリット、注意点をご紹介します。
 
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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相続時清算課税制度とは

相続税精算課税制度は、贈与税の課税制度のひとつです。60歳以上の父母または祖父母から、成人した子や孫への生前贈与において利用することができます。この制度を使うと、もらった財産(お金や物品)の合計金額が2500万円を上限に、申告時に贈与税を特別控除されます。
 
同一の父母または祖父母からの贈与において、限度額に達するまで何回でも控除することができ、特別控除された2500万円までの贈与には贈与税がかからないことになります。
 
通常、申告した税金は「即時に納税すること」が大原則ですが、贈与税に限っては「延納制度」を利用することで支払いを先延ばしにすることができます。相続時精算課税を適用する場合には、納税額がないときであっても財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に申告する必要があります。
 

相続時清算課税制度のメリット

相続時精算課税制度は、両親や祖父母から高額な贈与を受けたとき(高額な財産をもらったとき)に発生する贈与税を抑える(免除する)ことができる点が大きなメリットです。
 
車などの高額な買い物をする際に、両親などから援助を受けるといったことはよくあることですが、110万円を超える援助を受けた場合に贈与税が発生します。こういった際に相続時精算課税制度を利用して申告をすると、受けた援助は2500万円まで贈与税を支払う必要はありません。
 
余談ですが、住宅購入の資金援助を受けた場合には、最大1500万円までの贈与税が免除されます。
 

相続時清算課税制度のデメリット

相続時精算課税制度のデメリットは2つあります。
 
1つ目は「暦年課税制度が利用できない」ということです。暦年課税制度とは、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産(お金、物品)の合計額が110万円以上の場合に、それを超えた金額の分だけ贈与税がかかるというものです。
 
もらった財産の合計金額が110万円以下の場合は贈与税がかかりません(贈与税の申告の必要もありません)。この制度は毎年利用することができますので、毎年コンスタントに110万円以下の贈与を受ければ、相続税対策にもなるということです。
 
一見、相続時精算課税制度の方が有利な制度に感じます。ですが、2つ目のデメリットによって有利さが一気になくなってしまうのです。
 
その2つ目のデメリットとは「相続発生時に相続税が課税される」ということです。この制度は“贈与税”を控除するというものです。
 
相続時精算課税制度を利用して贈与税の課税を免れたとしても、贈与した人(両親または祖父母)が亡くなった際に発生する相続のときに「相続時精算課税制度を利用して贈与された財産にも相続税が課税」されるのです。
 
もし、祖父母二人からそれぞれ2年間にわたり2500万円、計5000万円の贈与を受けた際に5000万円分の贈与税を支払う必要がありませんでしたが、実際相続が発生した際に贈与を受けた5000万円も相続税の算出に組み込まれてしまうのです。
 
つまり、相続時精算課税制度は「贈与を受けたときは贈与税を非課税だけど、相続が発生すると非課税になった分も課税される制度」なのです。
 

まとめ

相続時精算課税制度は、使い方によっては節税効果があります。高額な贈与を受けた際に利用すれば贈与税の減免を受けることができますが、相続時に贈与分の相続税が発生するので、納税資金を用意しておく必要があります。
 
制度を利用する前にご自身の状況をしっかりと把握したうえで、利用することをおすすめします。
 
出典
国税庁 「相続時精算課税の選択」
国税庁 「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
 

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