更新日: 2024.10.02 贈与
祖母の遺品整理中に「500円玉」がたっぷり詰まった貯金箱を見つけました。「特別な申告」は必要でしょうか?
今回は、遺品整理中に見つかった500円玉貯金の扱いや、申告せずに隠した場合のペナルティについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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タンス預金は相続の対象
結論として、500円玉貯金のようなタンス預金は相続の対象です。そのため、相続人の間で遺産分割を行ったうえで、相続税を支払う必要があります。遺品整理中に貯金箱を見つけて「ラッキー」と思うかもしれませんが、このようなお金も相続の対象として扱わなければなりません。
隠すとペナルティとして加算税や延滞税を支払わなければならないため、基本的には手続きをお願いしている専門家に相談しましょう。
特別な申告は必要ない
500円玉貯金を相続するにあたっては、相続対象として申し出る以外に特別な申告は必要ありません。ほかの現金や口座残高の相続と同様に扱えば問題ないため、税務署の指示に従い相続の金額に含めましょう。
通常、遺品を売却してお金に換算するものについては、売却後に得たお金も課税の対象です。ただし、すべての物品が課税対象となるわけではなく、売却した際の価格が30万円を超えるもののみ課税対象に含まれます。
500円玉貯金はそのまま現金として使用できるため、そもそも売却する必要はありません。
相続から8年以上経過している場合は時効になる
今回のケースでは、遺品整理中に500円玉貯金が見つかったため相続に含められますが、人によっては数年経った後に新しく遺品が見つかることもあるでしょう。基本的に見つかった現金は税務署に申し出て相続税を支払わなければなりませんが、相続には時効があります。
見つかったタンス預金がたまたまなのか、故意に隠していたのかにもよりますが、相続発生から時効が成立するまでの期間はおよそ8年です。もし、新しく500円玉貯金が見つかった時点で時効が成立していれば、相続税を払う必要はありません。
タンス預金は隠すとバレる?
相続時、故人が税金対策としてタンス預金をしていた場合や、遺品整理中に500円玉貯金が見つかった際に、税金対策として隠す場合があります。しかし、タンス預金を隠すことは基本的にできません。
相続時には国のシステムや税務署により、過去のお金の流れを調査されます。タンス預金や500円玉貯金といった大きな金額になりそうなものは、高確率で指摘されるでしょう。少額であればバレない可能性もありますが、バレたときにはなんらかのペナルティが課せられるため、基本的には正直に申し出なければなりません。
タンス預金を隠したことがバレたときのペナルティ
ここでは、遺品整理中に見つかったタンス預金を隠していたことがバレた場合のペナルティについて解説します。どのペナルティも決して軽いものではなく、故意に隠していると犯罪とみなされる可能性もゼロではありません。金額次第では重大な犯罪とみなされるケースもあるため、タンス預金を発見したら速やかに報告しましょう。
加算税
加算税とは、本来申告すべき金額に漏れがあった場合に課せられる罰則金です。加算税には主に以下の3つがあります。
●過少申告加算税
●無申告加算税
●重加算税
上記それぞれで課せられる金額の割合が異なりますが、最小で10%、最大で50%もの追徴課税が課せられます。
延滞税
延滞税とは、税金の納付期限の翌日から納付日までに課せられる税金です。課税対象の金額に対し、期限翌日から2ヶ月以内は年利2.7%(令和4年1月1日から令和6年12月31日まで)、2ヶ月以降は年利8.7%(令和4年1月1日から令和6年12月31日まで)の延滞税が発生します。割合で発生するため、相続する金額が大きいほど延滞税も高額です。
懲役や罰金
隠していた金額が高額、または隠蔽の内容が悪質と判断された場合は、脱税や相続税法違反罪として、懲役や罰金が科せられる可能性があります。仮に脱税や相続税法違反罪となった場合、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、無申告であれば1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
500円玉貯金は相続に含めよう
たまたま見つかった500円玉貯金を隠すのは、非常にリスクの高い行為です。バレたときのペナルティも重く、故意に隠していた場合は懲役や高額な罰金に処される可能性もあります。タンス預金には特別な申告は必要ないものの、正直に相続の対象として申し出ましょう。
出典
e-Gov法令検索 相続税法
財務省 加算税の概要
国税庁 相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)
国税庁 No.9205 延滞税について
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー