更新日: 2024.09.29 葬儀

実家に帰省時、親に「墓じまい」を相談されました。私も遠方に住んでいて「管理」しきれないので賛成ですが、いくらかかるのでしょうか?

実家に帰省時、親に「墓じまい」を相談されました。私も遠方に住んでいて「管理」しきれないので賛成ですが、いくらかかるのでしょうか?
先祖代々守ってきたお墓は、家族や親族にとって大切なもののひとつでしょう。
 
しかし、近年は核家族化や少子高齢化が進み、お墓を守り続けることが難しくなっています。そんな中で「墓じまい」という選択肢も注目されていますが、実際墓じまいをするにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
 
本記事では墓じまいについてとその目安となる費用について解説します。

執筆者:新川優香()

「墓じまい」とは

墓じまいとは、現在あるお墓を整理して撤去することです。管理しやすい場所にお墓を移転するほか、お寺や霊園に供養・管理してもらう「永代供養」や、自然に返す「散骨」、自宅などで管理する「手元供養」などがあります。
 
永代供養は、お墓の後継者がいなくても供養を代行してもらえる点が大きなメリットです。散骨には、樹木を墓碑とする「樹木葬」や、海上で散骨する「海洋葬」などがあります。散骨する場所によってはトラブルの元となるので、事前に散骨していい場所か確認し、許可を得てから行う必要があります。
 
手元供養とは、自宅の仏壇に骨壺を納めたり、粉砕した遺骨をペンダントなどに入れて常に身に着けたりして供養するものです。
 

「墓じまい」にかかる費用

墓じまいに必要な費用は、平均するとおよそ30万円~300万円といわれます。何にどれくらい必要なのか具体的にみていきましょう。
 

お墓の撤去費用

まずは、それまで利用していたお墓の撤去費用が必要です。墓石を撤去・処分するには、石材店に依頼するのが一般的で、この費用は1平方メートルあたり10万円~15万円程度となっています。同時に遺骨の取り出しも依頼する場合には、3万円~5万円程度の追加費用がかかります。
 

お寺へのお布施代

墓じまいには「閉眼供養(へいがんくよう)」が必要となります。これはお墓から遺骨を取り出し、お墓に入っていた魂を抜く儀式です。この儀式のお礼としてお寺にお布施が必要となりますが、これは普段の法要と同額程度の3万円~10万円程度を目安としましょう。ただし、お布施代は地域の慣習やお寺によって異なる場合があります。
 

離檀料(りだんりょう)

お墓をお寺に管理してもらっていた場合、檀家(だんか)を離れるためにお寺に支払う「離檀料」が必要です。一般的には通常の法要などで包む額の2~3倍、20万円程度が目安とされていますが、この金額も地域やお寺によって異なるため、明確な額が定められているわけではありません。
 

移転する場合

新たにお墓を構えて移転する場合は、その費用も必要です。新しい納骨先の用意費用はお墓の土地や墓石なども含めて最大250万円程度かかります。また、お墓へ魂を入れる「開眼供養(かいげんくよう)」の儀式としてお寺へのお布施代を3万円~10万円程度包みましょう。
 

行政に対して払う費用

墓じまいには行政の手続きも必要となり、準備する書類には次のものがあります。
 

埋蔵証明書(埋葬証明書) 今のお墓から取得
受入証明書 新しい納骨先から取得
改葬許可証 埋蔵証明書と受け入れ証明書を提出し、自治体から取得

 
これら行政手続きに必要な書類の費用は数百円~1500円程度となりますが、遠方で手続きが難しく、行政書士に依頼する場合は別途依頼料が必要になります。
 

墓じまいをする場合は家族で相談を

近年の家族の在り方の変化に伴い、墓じまいが選択されるようになってきましたが、親戚縁者が多く納骨されている場合、親族のなかには墓じまいに反対する人がいることもあるでしょう。墓じまいをする場合は、家族や親戚とよく相談してから進めるようにしましょう。
 
また、今回紹介した費用はあくまでも目安です。お寺によってはさらに安く済むところ、あるいはさらに費用が高額なところとさまざまです。
 
基本的に法要法事などでお寺におさめるお布施に目安はあるものの地域によって違いがあるように、墓じまいで必要な額も地域やお寺によって大きく異なります。あまりにも高額な費用を請求された場合は、同じ檀家の地域の人や役所、あるいは弁護士に相談するようにしましょう。
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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