更新日: 2024.09.23 贈与

子どもが生まれましたが、生活が苦しく親の「仕送り」に頼っています。毎月「10万円」を生活費にもらっているのですが、年間110万円を超えると“贈与税”の申告が必要なのでしょうか…?

結婚後でも何らかの理由で生活が苦しくなった場合、両親や義両親から援助を受けることがあります。ただ、年間110万円を超える贈与には贈与税という税金がかかることから、親からの援助を受けることに慎重になっている人もいるのではないでしょうか?
 
本記事では、親からの仕送りなどの生活費や子どもの教育費の贈与にも贈与税がかかるのか解説します。年間110万円未満の贈与でも贈与税の納税が求められるかもしれない実例を挙げ、注意点についても説明しているので、参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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扶養義務者から受け取るお金のなかには贈与税がかからないものもある

結論から言うと、扶養義務者からの生活費や教育費のための贈与には贈与税がかかりません。贈与税の課税方式として、何も手続きをしていなければ全員最初は「暦年課税」という仕組みが適用されています。
 
暦年課税では、1月1日~12月31日の1年間で受け取った総額が年間110万円を超えるまでは贈与税がかかりません。贈与の金額が年間110万円を超えると、超えた分が贈与税の課税対象になります。
 
暦年課税の税率は一般税率と特例税率で異なりますが、基礎控除後の贈与税の課税価格に対して10%~55%が課税されます。
 
ただし、「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」に該当する場合には贈与税がかかりません。
 
「扶養義務者」から生活費や教育費の贈与を受ける場合なので、知人や友人からの贈与などは該当しませんが、今回のケースのように両親からの贈与で生活費に充てるために毎月10万円ずつもらっているのであれば贈与税は発生しません。
 
「扶養義務者」に該当するのは次の通りです。

●配偶者
●直系血族及び兄弟姉妹
●家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
●三親等内の親族で生計を一にする者

つまり配偶者や両親、祖父母、子、孫、同居している「おじ」「おば」などからの贈与であれば、贈与税がかからないことになります。
 
ただし、贈与税がかからない財産は生活費や教育費に直接充てるものに限られます。生活費や教育費の名目で受け取った場合でも、それらを預金したり株式や債券などを購入したりすることに使用した場合には贈与税がかかるので注意が必要です。
 

贈与をする際は「定期贈与」にならないように気をつけよう

前述したような生活費や教育費のための贈与ではなくても、年間110万円までの贈与であれば原則として贈与税がかかることはありません。ただし、贈与が「定期贈与」と認められると贈与税が課税されます。
 
定期贈与とは、「今後5年間、毎年100万円ずつ贈与する」といったような契約書を作成し、贈与計画にもとづいて定期的な贈与が行われることです。この場合、毎年100万円の贈与ではなく500万円が贈与されたと見なされる場合があり、非課税の範囲を超えてしまうため注意が必要です。
 

まとめ

子育てをしていると、急にお金が必要になるケースも少なくありません。毎日の食費以外に教育費用や入学準備など多くの出費が発生し、どうしてもお金が足りないタイミングが出てくることがあります。
 
祖父母や父母にお金の援助をお願いするとなると贈与税の心配が生じるかもしれませんが、条件を満たせば税金の納付なしで援助を受けることも可能です。扶養義務者にあたる父母や祖父母からの「生活費や教育のための贈与」であれば贈与税がかからないため、生活費や教育費の用意に困っている場合は両親や祖父母に相談してみても良いでしょう。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 第1条の2《定義》関係(「扶養義務者」の意義)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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