更新日: 2019.01.07 贈与

贈与税の計算には、暦年課税と相続時精算課税があります

執筆者 : 黒木達也

贈与税の計算には、暦年課税と相続時精算課税があります
相続税を軽くするために、生前に贈与することがよくみられます。贈与税は多くの人が知っている「110万円までは控除がある」という「暦年課税」が一般的な計算方式ですが、規定額の範囲内で贈与を進め、相続が発生した時点でそれを精算するという「相続時精算課税」という方式もあります。

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黒木達也

Text:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

贈与税と相続税との関係

贈与税は、相続税とは異なり「生前に誰にでも贈与できる」という特性があります。しかし控除額は1年間110万円までと決められ、それ以上贈与をすると、税金がかかる仕組みです。相続税では、相続人が1人だけのときでも、3600万円の控除額があるのとは、大きな差があります。
しかし近年、相続税の控除額が縮小され、5000万円前後の相続財産でも課税され、納付額も大幅に増えています。そこで、生前に、しかも誰にでも財産の移転ができる贈与が注目されています。これにより、相続財産を減額できれば、相続をめぐっての親族間トラブルも幾分か減少すると同時に、高齢者が多く保有する金融資産や不動産を若い世代へ移転することで、若い世代が活用できるためです。

暦年課税、110万円までは控除

「暦年課税」は、これまでの贈与税の基本で、毎年の贈与が可能な制度です。毎年110万円の控除が認められます。ですから、かりに200万円の現金を贈与したときには、控除額の110万円を差し引いた90万円分について贈与税がかかります。課税価格90万円の税率は10%ですから、9万円の贈与税がかかります。
また、20歳以上の子や孫などへの贈与は、それ以外の人への一般贈与とは異なり、優遇されています。控除額の110万円を引いた課税価格が300万円以上になると、「特例税率」が適用され、贈与税額が緩和されています。これにより土地などの不動産の移転も進めやすくなっています。
年間110万円を超えない贈与に関しては、贈与税はかかりません。ただし、当事者間で署名・捺印した「贈与契約書」を作成しておく、毎年110万円と同額の贈与を継続して行わない、といった注意を払う必要があります。

図表_贈与税の速算

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相続時精算課税制度

「相続時精算課税」は、2003年から導入された比較的新しい制度です。これは、若い世代への資産移転の促進を目的とした税制で、早い時期に贈与を進め、実際の相続が発生した時点で、税金を支払う制度です。贈与する人と贈与される人が同じ場合に、相続発生時点までの間なら、2500万円の範囲まで贈与税はかかりません。2500万円を超えた贈与には、一律20%の贈与税がかかりますが、これを含め相続時に精算します。
この相続時精算課税を一度選択した場合は、一般的な贈与税である「暦年課税」へ変更することはできません。贈与税を納めないで済む2500万円という控除額は、「非課税枠」ではありません。あくまで、相続時に精算し「相続税」として支払う後払いの制度です。ただし、一度に多くの財産を前渡しできる、相続財産が少ない人には効果がある、高齢者から若い世代への資産移転が進むなど、メリットはあります。
 2016年までは、適用対象が、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与に限られていました。制度の利用を促進するため、現在では贈与する側の年齢が60歳に引き下げられ、祖父母から孫への贈与にも適用されるようになりました。